12/25の日記

02:23
更新
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under the rose『Distance Love』をUPしました。

*絳攸がにょたです。苦手な方はご注意ください。

メリクリ!
日付を多少詐称しています。ごめんなさい!

しかし、どうしても入れたかったクリスマスネタが入れられなかったのでw
双花でSS。



『Kissing under the mistletoe』

触れる、熱。
離れて、また触れて。
少しだけ甘噛みされて、絳攸は掴んでいたシャツの襟を離してその鎖骨付近を拳で打ち付けた。
ふっと、笑む気配すら、とても近くて。

「もう…、やめろ…」

熱に浮かされたように、絳攸は解放された唇からその言葉をやっとひねり出した。

そんな絳攸の頭上から、パラリと降る木の実。

「どうして?だってまだこんなに実は残っているのに?」

低く笑った目の前の男は、見せびらかすようにその白い木の実を濡れた唇に押し当てて見せた。

”Kissing under the mistletoe”

聖なるヤドリギ(ミスルトー)の下では、キスを拒めない。
そんな伝承を持ち出したのは、やっぱり楸瑛だった。

忘年会を兼ねた部署のクリスマスは、小さなレンタルスペースを借り切って行われた。
デリバリー品もいくつかあったけれど、料理自慢がこの日の為に腕を奮った。
大変凝り性なメンツがそろっていたので、ツリーやリースの会場装飾や、装花もかなり手を加えられており、そんな中の一つに、楸瑛が気づいた。

「へぇ、キッシングボール。なかなか気の利いたものがあるんだね」

「キッシングボール?このリース、何か特別なんですか?」

今日は料理を担当してくれた秀麗が、丁度エプロン姿からかわいらしいワンピースに着替えて会場に顔を出したところだった。

「うん。この黄緑の葉っぱと白い実は樫などにつくヤドリギなんだけど、この下では女性はキスを拒めないという言い伝えがあるんだよ」

「えっ!?そうなんですか!?」

驚いたような秀麗にくすくすと笑って楸瑛は付け足した。

「まぁ、本当は、ヤドリギの下でキスした恋人同士は結ばれるって伝承から来ているから、拒めない云々は後からのつけたしなのかもしれないね」

「はぁ。でも、今日は立ち位置に気を付けます」

しっかりと楸瑛と秀麗の話を後ろで聞いていた劉輝に視線を投げて、秀麗はそう言ったので、二人の微妙な関係を知る皆は、がっくりと項垂れる劉輝の姿に笑いを誘われたのだった。

この二人に限らず、社内には多かれ少なかれ、微妙な関係の者もいれば、ただ憧れてのままの者もいて。
せっかくのクリスマスにその距離を少しでも縮めたいと思う人々にとっては、このネタはすこぶる有効なアイテムだった。


「で、なんでこうなる…」

絳攸はというと、序盤の上司の挨拶など定型の行事を終えて、さっそく皿に乗り切らないくらいの料理を端から端まで制覇すべく身を乗り出したところで笑顔の楸瑛に手招きされた。

「ねぇねぇ、ちょっと」

「なんだ? どうかしたか?」

「うん。ちょっとついて来て貰える?」

行った先に何かあるのかと、ノコノコと楸瑛の後をついて会場の部屋を出て、廊下を歩き、そして気付けば壁に背を押し付けられて唇を貪られていたわけで。

「さっきは言い忘れたけど、キッシングボールはね、キスを一つするごとに実を一つ、詰むんだ」

言葉の合間に触れる熱。

巧妙な唇が絳攸の意識を攫うたびに、パラパラと実も落ちる。

「それ、と…ン……、お前、……の、この行為……に、何、のい、み…が……」

問いすらも掬い取るように、楸瑛の唇はそれを奪ったが、負けじと強気に紡がれる絳攸の声が熱に滲むのを、目を細めて見下ろしていた。

「言っただろ。ヤドリギの下でキスを交わすと結ばれるって」

「俺たちはもう…」

すでに恋人だろうがと、声に出すことが憚られたのか、ぎゅっと眉間にしわを寄せた絳攸を見て、楸瑛は喉の奥で笑った。

「そうだけどね。君が他の男にキスされるくらいなら、忌まわしい実なんてすべて詰んでしまいたい」

知的な美貌で滅多に笑わないと評判の絳攸は、男女問わず高嶺の花として社内の憧れの的なのは周知の事実。
冗談めかしながらも本気を滲ませる楸瑛の声は、酷く扇情的で。
絳攸はひっそりと熱い吐息を吐いた。

「……会場の中にもあるが?」

「だから、こうしてここで足止めしてる」

わかりやすい独占欲。
普段はどこか煙に巻いたような楸瑛が露わにするその感情。
バカだなと思う。

「……俺にだって、独占欲くらいある」

絳攸が遠巻きにされる花だとしたら、楸瑛はその花を飛び回る蝶で。
花は蝶の訪いを受けるために、甘い香りを放って彼を誘う。
その姿を見ることを不愉快に思う気持ちは絳攸にだってある。

「……へぇ。どうしちゃったの今日は」

素直過ぎてなんだか後が怖いなと笑った楸瑛に、絳攸はとっておきの笑顔で返してやった。

「じゃあ、止めるか?」

「冗談。そんなことしたら、この先5年は後悔するのが目に見えている」

それは、絳攸が素直になる機会は5年に1度あるかないかと言っているようなものだけど、あながち間違いではないので、絳攸はそれこそ素直に楸瑛の首に腕を回した。

「Merry X'mas」

触れ合った熱は、すぐに同じ熱さに溶けた。

*****

ミスルトーのネタ、好きですたい。

素直じゃないけど男前な絳攸にとって、「拒めない」とかの決まり事があるものって、自分の言い訳に使えて良いですよね。
なんて。

前職でお世話になっていた部長は、お料理がほんとに上手で、毎年クリスマスにはターキーサンドを作って来てくれました。
それがまたすんごく美味しんですよ!
そして、1回だけ、忘年会を兼ねて、責任者と私だけお呼ばれして、レンタルルームを貸し切ってクリスマス会しました。
その時は、部長を始め、数人がかなりの料理の腕を持っていて(全員男性)、女性は私一人だったにも関わらず、たぶん私が一番足手まといで、最後食器を片づける段になっても、容量が悪くてもたもたしてたら、別の男性にスポンジを奪われて手持無沙汰になったこともありましたw

あの時は部内の人数が4、50人しかいなかったのでとてもコンパクトだったのが、どんどん半期ごとに増えていって、終いには120人くらいになって収集つかなくなってきて、そういうアットホームな行事を部内でしなくなっちゃったんですけど。
でも、いまでも良い思い出です。

今年は三連休で、私は家族と食事に出たくらいで終了してしまいました。
というか、風邪がやばくて、薬でなんとか抑えていたところに飲酒して、今日もまたぶり返していたので、おとなしくしてました。

クリスマスが終わるとあっという間に年末ムードなので、風邪などひいていられませんよね。

どうぞ、皆様もお体にはお気を付けください。

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