02/23の日記

22:31
スルースキルは上級です
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にゃんにゃんにゃ〜んの猫の日をスルーしてしまった!
てか寝落ちしたよ酒呑んで!
と言っても1杯なんですが。
なんか最近急激に弱くなってます。
前はもうちょっとイケたはずなのに。

我が家では、私が酒に酔った勢いでずっと「今日はにゃんにゃんにゃんの日なんだから!」とか「22時22分なんだから!」とか言い続けた結果、「人に猫の日を強要するのは止めて下さい」と家族に言われて終了いたしました(-_-)
あ、勿論冗談で言われたんですけどね(笑)

せっかく昨日、そうやって旦那にクダを巻ながらボチボチ打ってたんで、1日遅れだけどアップしちゃいます。


**********

氷雨の中でそれを見つけたのは微かな声のせいだった。
誰もが半屋外の渡廊を避ける日の静寂は、先を急いでいた珀明の耳にそれを消さずに届けた。
音もなく、雨が降る。
乗り出して辺りを見渡せば、わずかな庇の恩恵を受けるように、柱に身を寄せた白猫が一匹。

「……お前、迷ったのか?」

冷たい雨に濡れた姿はみすぼらしくも、元の毛艶を思わせる、なかなかに愛らしい猫だった。
野良ではなく、後宮辺りの飼い猫が外朝まで迷い出でたのだろうか。
今し方、各所へ書翰を届け終えたばかりの手ぶらな珀明は、少しだけ逡巡してから、渡廊から足を踏み出した。

やはり人に慣れているのだろう。
白猫は、丸い金の目をジッと珀明に向けながら、決して逃げなかった。
小さな小さな白い塊は、近付くと、目に見えるほどに震えている。
冷たい雫を身に受けながら伸ばした指先を、ザラリと熱い舌が撫ぜて行き、珀明は咄嗟に手を引き戻した。

ふと、我に返る。

仕事中では、連れては行けない。
でも、こんなに小さな体では、持たないかもしれない。
飼い主も探しているかもしれない。
でも、雨の間くらいなら…。

だってこれは、飼い慣らされた猫だ。
野生の牙を持たない、力ない愛玩動物。

―――自分と同じように。

「なにしているのかと思えば猫か」

ひょいと、珀明の傍らを過ぎた人は、何の躊躇もなく白いその身をつまみ上げた。
上等な衣が汚れるのも厭わず、簡単に胸に抱き込む。

「絳攸様……」

呆然と見上げた珀明の腕を、空いた方の手でグイと引き寄せた。

「風邪を引く気か。戻るぞ」

遠目から眺めていたよりも大きな手で、強引に渡廊まで連れ戻された。
気づけば、珀明の体は随分と冷えていた。

「お前、人懐こいな」

肉球をペタペタと絳攸に押し付けてじゃれる猫は、まだ成猫になりきらない小ささで、絳攸の長い指が薄汚れた毛の雫を一気に拭った。

「……なぜこちらへ…?」

呟いて、愚問だったと珀明はすぐに後悔する。
李絳攸は、吏部侍郎にして、王の側近。
これだけの高官の行き先など珀明が知るところのものではない。
しかし、絳攸はあっさりと答えた。

「ああ。工部からの帰りだ」

「……そうですか」

工部から吏部へ至る道程を幾筋浮かべても、この場所が思い当たらない。
やはり絳攸様は自分ごときに職務内容は明かさないのだと、珀明は苦味を飲み込んだ。

「吏部に帰るか」

「え、猫は?」

こちらの内心など気にもしない絳攸の言葉に、つい珀明は声を上げた。
行きかけた絳攸はその声に振り向いた。

「雨だからな」

そう言って、普段はしっかりと合わされた襟元を緩めると、衣の中に小さな塊を落とした。
そして、珀明を見た菫の瞳。
にやりとつり上がった口元。

「バレなければ少しくらいは構わないだろう?」

ポンと軽く叩いた胸元。
みゃーとか細く零れた声。

「静かにしてろよ」

そうして、二度三度、優しい手がそこを撫でる。

「……珀明?」

知らない顔。
仕草。

「碧官吏」

呼び掛けに、はっと珀明は目の前の人を見た。
そこにいるのは珀明の知る、悪鬼巣窟の副頭目。

「申し訳ありません」

首を垂れた珀明の頭を温かい熱が触れる。

「仕事に戻るぞ」

感じた熱は一瞬で、幻だったかのよう。
顔を上げた珀明は、すでに歩き始めた人の背を慌てて追う。

一つの隙もなく伸びた背筋。
もう、ずっと前から追い続けている背中。

――でも、その懐には小さなぬくもりがある。

珀明は湿ってしまった髪を撫でつけた。
さきほど、絳攸が触れたところ。

この人のようになりたい。
得たいものの為に、牙を持ちたい。
そう思う気持ちは変わらずとも、今は、あの懐に抱かれる猫に焦がれる。

勇気を持って並んだ珀明を横目で見下ろした人は、少しだけ口元を緩めた。

また小さく、子猫が鳴いた。

**********


珀明の憧れって多分に色眼鏡による勘違いもありますよね(笑)

君は吏部への道標だったのだよ!
気づいて!

この後変な道に迷い込む絳攸に振り回された珀明くん。
でも彼は絳攸に関しては盲目なので「きっとこの行動にも意味がある」と信じてたりして。

絳攸は、命の重さを知る人だなとは思います。
無駄には拾わない。
でも、無駄に捨て置かない。
そういう匙加減をちゃんと教えてくれたのは百合さんかなぁと思う。
紅家に拾われた頃は、逆に自分が生き物を拾うとか育てるなんておこがましいと思ってそうだしなぁ。

小さな絳攸が捨て猫を拾う紅家の騒動なんかもムニャムニャ妄想しましたが、吏部熱が来てるので珀明くんにしてみました(・∀・)

書いてみてあれですが、これは人様が読むと絳攸珀明なんでしょうか。
自分の頭が完全に珀明絳攸な為に、ちっともそう思わないんですが、なんかそんな気がする。
まあ、どっちでも良いのです。
二人が仲良くしていれば。

今週は暖かい日が続いていますね。
花粉がね。
花粉。

春が待ち遠しいとは思いながらも恨めしい。

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