BL
□七十五円のバレンタイン
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………………好きなんかじゃない。
むしろ、大ッッッ嫌いだ。
いつもしつこく付きまとって、うるさい触るなあっち行けそして二度と戻ってくんな、そんな文句も聞く耳持たずで。
迷惑で、ウザくて、一方的で。
嫌いだ。
あんなヤツ嫌いだ。
―――――――なのに、
『あげたらティキ、喜ぶさ?』
―――ああもう、ラビのせいだ!ラビがあんなこと言うからこんなくだらないことで悩む羽目になったんだ!
喜ぶ顔が見たいなんてそんな、柄にもないことっ!
もういい、いっつもこっちが驚かされてばっかりなんだから、たまにはこっちから仕掛けてやる。
渡せなければそれでいい、自分の分にすればいいんだから。
そう必死に自分に言い聞かせて、ディックはやけくそ気味に一番安い板チョコを掴んだ。
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