Incarnated
□壱
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『あー、そうそう。そこで祐樹に抱きつく。
ちゃんと2人ともアイコンタクトで確認することー。いい??』
夏の大会が終わり、文化祭にもう一度公演をするためにまだまだ暑い9月下旬の体育館の舞台下で助演としての仕事を全うしている今日この頃。
ものすごく暑い。クーラーここにも付けてくれ、PTA。
……誰に説明してるんだっけ。
まあよく脳内解説やるからだよね。きっと……。
『じゃあ7Pのだから――から始めるよー』
確認します、キャストさん準備は宜しいでしょうか。
――オッケーです!!
それではいきま……
「優莉!!危ないっ!!」
『え??』
声をした方を振り向くと真っ青な表情のユキがいた。
ふと上を向くとパーライト。古いタイプだから中々の重さがあったはず。
なんで?? と言うよりも誰がミスったの??
どうせユキが後輩のスタッフ希望に勝手にいじらせたんだろう、きっとこれに当たったら血がドロドロなんだろうな。
その前に自分の部屋にある脱ぎ散らかした洋服やら下着やら漫画とか教科書とか大学のパンフとか片付けないといけないのに。
それよりもAO入学決まったというのに大学にいけるのだろうか。
ガシャーン
『い、うぁ……っつ、く…………うぅぅ』
嗚呼痛い。
なんか血がいっぱい出たのかわかんないけど、寒いし目の前が真赤だ。
なんか、想像していた“死”よりもあっけい気がするよね。
あ、ねえみんな、そんなに五月蠅くしないで。今なんか思いついたんだけどクリスマス公演のお題は――――――
ぷつり。
(因果なのかこれは。)
よくある死んじゃって転生。
もし自分が死んじゃうならこんな死に方はいやだなー。