◆イレギュラー考
イレギュラーって何なんだ。 その定義は、公式でもけっこう錯綜しているようですが‥‥
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シグマウイルスが出てからは、ウイルス感染して暴走した者をイレギュラーと呼んでるっぽい。 (※Χ5:イレギュラー化、Χ8:イレギュラー反応 etc.) じゃあシグマウイルスが出る前はイレギュラーハンターはいなかったのか。
――というとそんなこともなく、シグマ隊長健在の頃からイレギュラーハンターはあった。 では、そのハンターたちはいったい何と戦っていたんだろうか。
ケータイ向けゲーム版Xの公式サイト(と/り/き/り/★/カ/プ/コ/ン)の解説↓ 『人間に犯罪者がいるように、彼ら[注:レプリロイド]にも故障者は存在した。それは「イレギュラー」と呼ばれ、破壊が原則となっていた』
もし故障=破壊処理だとすると、そりゃエックスが悩むのも当然だ。 この理論でいけば、(壊れないものはこの世に存在しないので)、レプリロイドの末路はすべてハンターによる処理ということになってしまう。
あとは、犯罪者=イレギュラーなら、犯罪を起こしたレプリは破壊されるということか。 でも、それでも大きい犯罪から小さい犯罪まであるだろうし、犯罪者=破壊ではあまりにおおざっぱすぎる。 ので、実際はもう少し細かい定義がある‥‥はず。
一応、シグマ反乱前のハンターの破壊対象(イレギュラー)を独自に考えてみた。
@人を殺したレプリ←破壊 Aレプリを破壊したレプリ←破壊 B暴走メカニロイド←破壊 ‥‥こんな感じかな?
さて、17部隊の新人エックスが疑問を感じた破壊とは、いったいどれを指しているのか。
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シグマ反乱以降について。
ROCKMAN X6 完/全/攻/略/ガ/イ/ド の解説↓ (ウイルスなど何らかの原因によって) 『レプリロイドの電子頭脳が狂って、人間や他のレプリロイドを攻撃すると、イレギュラーと認定される』
もしウイルス感染=イレギュラーなら、エックスの言うようなイレギュラーに対する「説得」はまったく意味の無いことになってしまう。ウイルスと説得には何の関係も無いから。
ウイルス感染→直らない故障→破壊、の場合、エックスの悲しむ余地はあるのか。
ウイルス感染してしまったこと自体を悲しむのか? もしくは、破壊したくないけどウイルス感染者は破壊しなければならないという悲しみ、なのか。 あるいは、破壊以外の道を探ろうにもウイルスに対するワクチンみたいのができるのを待っているしかないことに対する無力感、ということか? ワクチン開発はΧ3以降あんまり進んでないみたいですが‥‥。 あとイレギュラー反応って何だろう。 ウイルスだと何らかの感染反応(機体認識信号の異常?)みたいのがあるのかな。
ともあれ現況の元凶はやはりウイルスか。 そして、ウイルスの発信源はどこだ、と探っていけばシグマにたどり着き、さらにそのシグマにウイルスを感染させたのは、ゼロ。
‥‥ということは、エックスの手を血で染めさせその心を悲しみで引き裂き続けてきたすべての元凶というのは、じつは、‥‥!
今更ながら気付いてしまった‥‥!!( ゚Д゚)ガーン エックスがイレギュラーを破壊して悩み苦しむことの原因さえもゼロなのか?!
そうか、おまえのっ、おまえのせいでっ!!とボッコボコのベッコベコになるまでエックスバスターを食らわなきゃいけないのは実はシグマじゃなくて、無二の親友だったわけですか。なんという酷い設定だ。誰が考えたんだ。
自分を殺すために生まれてきた者であり尚且つ現在進行形で自分を苦しめる原因をつくりだしている者と親友であるエックス。 ――ただ一つ救いなのは、ふたりがそのことを知らない点でしょうか。 だからこそ彼らは共にいられる? ‥‥否、Χ5の時点でゼロはそれに気付いているはずで、だからこそ消えたがっていた。しかしΧ6で戻ってきてしまったことを説明するにはそこに何らかの意識操作‥‥あるいはこれは書き手の願望ですが、彼自身の苦渋の選択があったのかもしれない。エックスのほうでも、もしΧ6以降でその情報をわずかでも共有していたとしたら、またその上で現状を維持しているのなら、そこにもまた一線を超えてしまった感情を見る気がいたしますがそれはさておき。
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話を少し戻そう。
岩本先生版コミックでは、ハンター出動は何も破壊目的ばかりじゃないみたいでした。 以下、復刻版第一巻収録の「#9 HOPE」ゼロの回想シーンより、盛大なネタバレ。
訓練生時代、バーチャルトレーニングのランクDオールダウン[=パーフェクト]記録をもつA組[クラス]のゼロと、同じくランクDオールダウン記録をもつB組のイグリードは、すれ違いざまの「おかまやろう!」「鳥ガラ!」という初対面の挨拶(?)からつかみ合いになりかけて以来、よきライバルとなりました。
(ここ、A組の取り巻きに囲まれたゼロが「俺はアイドルかよ‥‥」と内心うんざりしてたり、イグリードが自分を囲むB組の取り巻きを「人におべんちゃらをいうひまがあったらトレーニングでもしろよ」! と一喝したり、オカマと言われた女顔と鳥と言われた鷲が廊下の真ん中でバスター勝負しようとしているのを取り巻きたちが止めたりといろいろ面白いんですが割愛。笑)
で、問題は以下のシーン。
(ゼロの回想シーンその2)
逃げる強盗レプリ、空から追うイグリード。 イ『にげきれんぜ! 銀行強盗さんよ!!』 強盗『ちっ/なめるなよ!/この金を使わずにやられっかよ!!』 強盗、ランチャー砲を大量射出。 イ『なに?/やられる!!!!』 とっさに頭をかばうイグリード。大爆発。しかし、ランチャーの弾は何者かによってすべて弾かれていた。 ?『金は返しちまいな!』 強盗『ひっ』 飛び掛かる影。ゼロだ。 ゼ『警察じゃ貯金はできねぇからな!!』 ものすごい鉄拳で強盗をぶっ飛ばす。強盗はひっくり返ってノックアウト。 ゼ『手間かけさせやがって』
(以下略)
‥‥というわけなのですが。 ちょっとした短いエピソードですが、ここからわかることはいろいろあります。
その一。 まず、バスター持ちのイグリードさんが、充分射程距離にいるのに強盗にバスターを撃っていない。また、強盗がランチャーを使用したにも関わらず、ゼロもバスターを撃たず、素手で倒している。さらに、破壊はせず気絶させただけだった。 ‥‥つまり、ハンターが出動したからといって必ず破壊するというわけでもないらしい。
その二。 レプリのための警察もあるらしい。 となると少なくとも、犯罪を起こしたレプリにもハンターから破壊される以外の道があるわけで。
で、結局なにが云いたいかというと、
(岩本版を見ると) ◎ハンター業はレプリの破壊処理だけが仕事じゃなく、起動隊のような仕事も担っているらしい ◎ハンターがレプリを破壊するのは非常事態
ゲームだとやっぱり一つの戦争をテーマに一作品なので、ハンターは破壊処理ばっかりの印象ですが、もしかすると日々の業務はもっと捕獲や身柄拘束なんかが多いのかなあ、とか。
もちろん緊急時には破壊も辞さないとは思います。 ゼロも、この後の回想シーンのハイジャック事件では、犯人レプリを破壊しています。 でもそれは、大勢の人質を取ってダイナマイト自爆しようとしたため破壊するしかなかった、という印象でした。
そして、こういう時ならエックスの「説得」も充分意味があることだろうし、また、仮にこの事件がゼロでなくエックス担当だったとしたら(この時はまだエックスはハンターではなかった)、あるいは破壊を回避すべく行動していたかもしれない。
岩本版では、ゼロがワイリー製とかウイルスとか宿命の相手とかの設定は無いようなので、ハンターやイレギュラーの定義もまた違ってくるのかもしれません。 ちなみに、このサイトでは管理人が超・御都合主義者のためゲームの設定もマンガの設定もいいとこどりのごちゃまぜです。先輩後輩で親友で最大の敵同士のゼロとエックスです(笑)
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最後に妄想をひとつ。
たとえば結末として原点回帰するなら、また「待て、泥棒ー!」みたいなそういう日々の業務に戻っていってもいいと思うんです。 自分はΧファンとしてはあるまじきことに、ユートピアの実現はすぐには無理かなって思ってます。テロとか嘘とか泥棒とか喧嘩とかを完全に無くすのは難しいと思う。 でも、今のΧワールドはあまりにも「イレギュラー化」の確率が高すぎる気がする。もう少しΧ界は平穏になってもいいと思うんだけどなあ。
あとワクチン‥‥抗体の開発ね。これもっとがんばれば絶対楽しいと思うんだ。 実現したら話やテーマが消えてしまうし、やっぱアクションゲームだし敵を殺さなきゃ話が進まないから、敵を治しちゃうワクチン系ネタが公式で採用されることは永遠にないと思うけれど、でもやったらほんと面白いと思うんですよ。
こう、技のチップ入れるだけでバスターから炎を噴いたり氷を出したりすることだってできることになってるんだから、Χ3ゲームのワクチン搭載(抗体ウイルス)ネタで、バスターの弾とかに載せて回路に撃ち込む系はほんとイケると思うんだ‥‥ これは暴論ですが、ΧvsZEROの結末だっていっそそれでもいいと思う。 もちろん巧いストーリーとか伏線とか必要になってくるとは思うけれど、いつか二人がお互いのことを思い出して、お互いの父たちのことも思い出したとき、エックスが「他でもないゼロのために」、死をもって友への手向けとするためではなく、ともに未来へと進むための決意をもって、一点の迷いもなく闘いにのぞむための舞台装置として、これほどふさわしい設定はないような気がするのですが。
ま、つまり言いたかったことは、
ゼロ 『いのちを無駄にしやがって!』
というわけなのです。 破壊しないでイレギュラーをなくす道を探り続けるエックスさんの話が書きたい。誰か代わりに書いてください(笑)
考察話は以上でおしまい! 以下は、前述の岩本版Χの回想シーン前後をちょっとだけ勝手に脚本化。
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