◆False Pregnancy
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※グロ注意 ※ギャグです ※エクゼロ気味
≫以下反転
◎腹部被弾 ◎寄生型ウイルス→エネルギー吸収 ◎異様な腹の膨らみ
畜生! おれのゼロをお腹ぽっこりにしやがって!! 絶っっっ対に許さない!!!
エックス、怒る場所が違うだろ‥‥
朦朧とした頭で思ったが、エネルギーを吸い出されたことによる虚脱状態と 「排出」時に内部機関の一部を破壊されたことによって、 ゼロの意識はそのまま鮮明になることなく沈んだ。
排出は背中から?(脱皮イメージ)←股間からはエロなので却下。口腔からは有りがちなので保留。
≫反転おわり。
◆ ◇ ◆
上記のネタのその後。
※ゼロクスゼロ ※グロくはないけど清浄でもないです
「ゼロ!」
地面に倒れたきり動かないゼロに駆け寄る。 手早く傷の状態を確認した。頭部や動力をやられた様子は無かったので少し安堵する。 ただ、背中を破られ、腰から下の神経がイカレてしまったようで、ゼロは文字どおり起き上がることができない状態だった。
これでは転送ポイントまで運ぶこともできない。背中に穴があいているのだ、下手に抱えて歩けば真っ二つになる。そんな事態はなんとしても避けねばならない。 次々に隊員たちが駆け寄ってくる。今回はそれほど大人数の出動ではないが、それでもおれとゼロのまわりを取り囲むだけの人垣にはなった。 おれは集まった隊員に向かって言った。
「一七は全員護送につけ。運搬先は先刻指示したとおりだ。○特は先に撤収して、あと救護班からストレッチャを出してもらってくれ。ホーネックはゼロの代わりに今回の報告を頼む。スパイダスはストレッチャの手配を。エルはメンテで肩を治してもらうんだ。アール、エルに付き添ってくれ。残りの者は‥‥」
次々と細かい指示を出す。隊員たちは威勢のよい敬礼とともに、それぞれの持ち場へと足速に向かっていった。何人かはまだ心配そうに振り返ったりしている。 名誉の負傷などという言葉で片づけるには、状況があまりに酷かった。
一団が去ってから、おれは改めて埃っぽい地面に横たわるゼロと向き合った。 ゼロは身体をくの字に折り曲げて横たわっているため、背中の傷がいやでも目についた。傷口からはコードの切れ端がわずかに見えている。
声をかけると小さく反応がある。いちおう意識はあるらしい。 しかし、それはすなわち激痛に耐えているということだ。体幹には痛覚遮断もあまり効かない。 チェイサーの小物入れから、こんなときのために余分に用意してある小さな箱を出してくる。 そして、誰かが負傷した時いつもそうするように、中から鋼鉄針付きの予備弾を取り出して、手早く外装とカプセルに分解した。
カプセルは小指の先ほどの小さなもので、中には透明な液体が詰まっている。 取り外したカプセルを右手に持ち直し、倒れているゼロのそばにかがんで、ゼロの口にカプセルを近づけた。 そのままカプセルでくちびるを押し開ける。指先が濡れるのも構わず咥内に押し込んだ。 指先に柔らかい湿ったものがぐにぐにと当たる。何かと問うまでもない。 あろうことかゼロは、舌先を巧く使ってカプセルを押し返してきたのだった。
「ぜ、ゼロ?」
そのままがちんと歯が閉じられる。指をかじられないよう、すんでのところで手を引っ込めた。 ゼロはといえば、くちびるを堅く閉ざしたまま顔をそむけている。 大人しく飲まされる気はさらさらないらしい。
「ゼロ」
無言の攻防はしばらく続いた。 しびれを切らしたおれは、小声でゼロにささやいた。
「ゼロ、そんなことしてるとバスターで撃ち込むよ? それとも口移しがいいかい?」
バスターで撃ち込むよ? 口移しにするよ? パンツ脱がせて下から入れるよ? おどかすと、ゼロはようやっと素直にカプセルを飲む気になったようだった。本当にやりかねないと思ったのかもしれない。 その読みは当たってるよ、と思いながら改めてカプセルをゼロの口内に含めた。今度はゼロも押し出してこない。 そのままカプセルが溶け出すのを待つ。 ゆっくりと、滴がしたたっていく。
「ちゃんとのむんだよ‥‥」
指をゼロのくちに押し入れたまま、言い聞かせるようにつぶやいた。
カプセルを経口摂取させるのは、負傷したレプリが苦痛で転げたり暴れたりして傷を悪化させるのを防ぐための緊急処置だ。 ただ、ゼロの場合、その強靭すぎる精神力によって、どれほどの激痛であろうと暴れたりしないことも分かっていた。 むしろ、死んでも戦うというその言や良し、首だけになっても走りそうだ。
でも不安だった。 ゼロを苦痛に耐えさせたままにしておくと、よくないことが起こりそうな気がした。 その懸念が頭から離れなかった。
(――だから、おれはおれのために、ゼロに無理やりカプセルを飲ませた)
カプセルが溶けて無くなってしまっても、おれはまだ指をゼロの口に押し込んだままにしていた。 半眼のゼロは、ぼんやりと宙を見つめている。傍目からは、ゼロは黙ったまま指を咥えさせられているように見えただろう。 そのじつゼロはおれの指を緩慢になめたり吸ったりしていたが、やがて瞳孔がふわりと開いて瞼がゆっくりと閉ざされた。飲んだものが効いて、ふたたび意識を落としたようだった。
おれは指を引き抜いて、‥‥拭くものもなかったので自分の大腿にすりつけてぬぐった。
ふと思い出してビジュアル回線を開く。 隊長よりもよほどしっかりしている第0特殊部隊副隊長を呼び出した。
「ホーネック」
「あ、エックス隊長。報告ならまだ‥‥」
空中に浮かび上がった半透明の画面から、背の高いハチ型の機体が応答した。 背景から察するに、どうやら○特の部室らしい。
「いや、じつは一つ頼みがあるんだ」
「何でしょう」
もう一つ、高速のデータ回線を開き、先ほどスキャンしたウイルスについての記録を転送する。
「これを、おれからだと言って研究開発室に渡してくれ」
ホーネックは送られてきたデータをざっと視認し「了解です」と頷いた。 主犯たちからデータが取り上げられ調べられてから開発室に回ったのでは、対策が遅すぎる。 こんなときこそ精鋭部隊長という特権を濫用して、一足飛びに話を進めようというわけだった。
「それから、‥‥できれば、上にはゼロの状態を少し大袈裟に伝えておいてくれないか」
外傷の範囲だけで言えば、ゼロはそれほど重症というわけではなかった。 だが、あれだけ大きなものが無理やり詰め込まれていたのだ。傷は深く、内部の損傷はもっと著しいに違いなかった。 なすすべもなく倒れているゼロを画面越しに見下ろしながら、ホーネックは再び頷いた。
「わかりました。余計な雑音は追っ払っときます。○特隊長は、内臓がちぎれてハラワタがぜんぶ飛び出したって言っときます」
真面目な表情のままそんなことを言うので、おれは少し笑ってしまった。
「うん、頼むよ」
通信を終える。救護班のメンバーたちが、ストレッチャを担いでこちらに走ってくるのが見えた。 意識のないゼロの身体は、メンバーたちの手によって丁重にストレッチャに積まれた。メンバーの一人に状況を手短に説明する。
「‥‥もう感覚系は遮断してあるから、確認次第、修理に直行してくれ」
最後にそう伝えて、メンバーたちを送り出した。 17部隊の副長から無声通信が届く。 滞りなく完了しました。総監から呼び出し来てるんで、隊長も早めに戻ってきてください。
つかれた。 手許に残された、重みのある金髪の束を抱え上げる。 あまりに長いゼロの髪は、載せても載せてもストレッチャからあふれて地面を引きずった。見かねたおれが、メットの付け根から髪留めごと取り外したのだ。 小わきに抱えた毛束の根本から先までが埃にまみれ冷却液の赤で血まみれになっているのを見て、おれは翳りをますます深くした。
おれの身体はつめたい。 そして、ゼロの中はいつも暖かかった。
<了>
「イレギュラー考」を書いてて思いついたもの。
エックス日常業務用武器その1 「対レプリ型麻酔銃」
・動きを封じる ・空気圧でバスターから鋼鉄針を撃ち出す ・イレギュラーを機能停止させずに捕縛できる ・
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