◆The Happy Prince
「エックスってさ、子だくさんだよね」
「は?」
「だってさあ、レプリって、エックスを元に作られたんでしょ」
この子どもは。 ときどきこちらが思いも寄らない奇抜な発想をする。 言われてみれば確かにそのとおりなのだが。
「それで、エックスがお父さんで、自分のデータを元に作られた子供がいっぱいいっぱいいて、出来の悪い子はバスターで撃ち殺す、それがエックスの仕事」
子どもはさりげなく怖いことをさらりと言ってのけた。 しかし、それはまさに的を射た表現で。
「‥‥それ、エックスに言ってないだろうな」
「まさか、言わないよ」
そう言って、子どもは笑った。
「それに、『お父さん』っていってもさ。ぼくまで来るともう孫の孫の孫の孫みたいなもんで、エックスはお祖父ちゃんのお祖父ちゃんのそのまたお祖父ちゃんだろうけどね」
ニンゲンだったら死んでるね、と黒い装甲をまとった少年が言った。
「‥‥ノアの箱舟、だな」
つぶやくと、ゼロはアクセルをつれて研究室を去った。
◆ ◇ ◆
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