待合室
□バクマン。短編
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【怪盗】
なんとなく気付いてた。
けど
なんとなく気付かないフリしてた。
多分俺は、福田くんに惹かれてるんだと思う。
異性に抱くような「恋心」というやつに良く似た感情の意味で。
「俺の漫画、面白いんスかね?」
そんな事をぽつり呟く君の横顔は、遠くを見つめる瞳の奥は、少し曇りがちで。
「あのね、福田くん。負ける気で戦うアスリートがいるかい?
まさか、自分の漫画がつまんないと思って描いてた訳じゃないだろ?」
少しムッとしたような表情でいたかと思えば、
「あ〜・・やめたやめた!
今の言葉、全然俺らしくねー」
と、照れ笑い半分で俺の肩をバシバシ叩く。
君の百面相を一つ見る度、また惹かれていく自分を知る。
「雄二郎さん。今の忘れて、さっさと打ち合わせしちゃおーぜ!」
肩に回した手に力を込めて、ニヤリと歯を見せて笑う。
まったく・・・
また君に心を奪われてしまったようだ。
取り返すつもりは
ないけど。
>>END
ЪЪ$
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