Alice

□壁
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ユリは棗と別れたあと、一人で部屋までの廊下を歩いていた。

すると背後に気配を感じ、立ち止まった。

ユリ「コソコソと人の後をつけてくるなんて趣味が悪いですね、修哉さん。」

修哉「ユリちゃん・・・」

ユリ「何か御用でしょうか?」

修哉「俺、どうしても納得いかなくて。」

ユリ「何に納得できないんですか?」

修哉「ユリちゃんが・・・ユリちゃんだけがこのままリマに嫌われ続けること・・・。学園の皆の嫌われ者にされかねないこと・・・。」

ユリ「・・・それだけですか?」

修哉「えっ・・・?」

ユリ「あなたはリマに隠し事をしていることが後ろめたいだけ。そして私に責任を全部おしつけていると思うと辛い。・・・違いますか?」

そう言うとユリはゆっくりと修哉に近づき、修哉の目を見すえた。

修哉「・・・。」

修哉は気まずそうにうつむいた。

ユリ「先程も申し上げたはずです。あなたが責任を感じる必要はないと。」

修哉「そんなことできないっ!」

ユリ「だったらあなたに何ができるんですか?」

修哉「えっ・・・。」

ユリ「リマのことを皆に言いますか?そして私は悪くない、俺のせいでリマがこうなってしまった。すべて皆さんに言うんですか?」

修哉「それはっ・・・。」

ユリ「できませんよね。リマのことを言えば自分のこともばれてしまう。そして何より、リマは混乱し、何を起こすかわからない。今のリマなら学園崩壊させかねない。そういった後のことをお考えになったうえで発言していただけますか?」

修哉「・・・」

ユリの言葉に修哉はひたすらうつむいてしまうばかりだった。

ユリ「もう一度言っておきます。あなたが責任を感じる必要はない。事のおおよそは私の責任。罪を償うべき者は私。」

修哉「ちがうっ・・・!」

ユリ「いい加減にして下さい!」

修哉「っ・・・・。」

ユリに言われて修哉は悔しそうに唇をかみ締めた。

ユリ「あなたはこの先、リマを守る義務があります。勿論私にも。・・・ですが私にはもう時間がありません。だから・・・
もし私に何かあった時は、リマやリマの周りの人のことをお願いします。」

そう言ってユリは修哉に頭を下げた。
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