昊と少女と少年と…
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ワタシハダレ?
ココハドコ?
ナンデマックラナノ?
目を開くと、そこは真っ暗な世界だった。音も光もない、闇に覆われた世界。
ワタシは、無重力のようにフワフワと浮かび漂っていた。
『目が覚めましたか?』
暗闇の中から湧き出てきた透き通った声。しかし、周りにはなにも無くただただ闇が続いているだけ。
『あなたは、神から選ばれたのです。ここは『空間』の狭間。何も見えないところです。』
淡々と話してくる声の主。ワタシはうん、とも すん、とも言わず聞いていた。イヤ、それしかできなかった。
『あなたは今からとある場所に行き、あることを学びます。それがあなたの使命です。』
瞬間、闇の中から一点の光が見えた。ワタシは無意識にその光に手を伸ばし掴もうとする。自分の手がはっきりと目に映った。白く、細い手は光を掴もうと、必死に握る。光が手によって包まれた。かと思ったら、光が手の中から漏れ出して、一瞬にしてワタシは光に吸い込まれた。温かく、心地よい。
『いってらっしゃい。あなたが過ごすひと時を安からなものに。いくつもの試練を越えて、大切なものを得るのです。』
ワタシは目を閉じた。光がワタシ全体を包み込み、温かなひだまりの香りをさせて、白く消えていく。
『最後に、名前を捧げましょう。 あなたの名前は…――――』
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