小説

□〈わたしにできること〉
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最近の八雲くんはとても忙しそうだ。

今日も朝から後藤さんが来て、心霊関係の依頼の打ち合わせをしていた。
口ではなんだかんだと言いながらもやることはきっちりこなすから、探偵業の依頼は順調に増えているらしい。

後藤さんが帰ると、今度は「黒魔術サークル」の人たちが訪ねてきた。
是非とも八雲にサークルに入って欲しいとのことだ。
どこからか八雲の左目の能力を聞き付けたのだろう。
八雲曰く、ここ最近こういった怪しげな類いの勧誘がよくあるらしい。

『黒魔術サークル』のメンバーはしばらく黒魔術の素晴らしさについて熱弁していたが、そっぽ向いたままあくびばかりしている八雲への説得を諦め、渋々かえっていった。

やれやれと一息ついた途端に、またもやドアをノックする音。
入って来たのは八雲と同じゼミの学生たち。
来年も大学に残ることを決めた八雲は、ここのところ少しはゼミや授業に出席している。

無愛想で欠席を繰り返す八雲に初めは否定的だった彼らだが、八雲の優秀さに今では助言を求めてこのプレハブ部屋にしばしば来るようになっていた。
八雲は面倒くさそうにしながらも、いつだって彼らのレポートや考察を手伝うのだった。


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