小説

□〈きっかけ〉
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プレハブからB棟裏手を抜け、大学の正門までを2人で歩く。

他愛もない会話をして、そして時々おとずれる沈黙。

晴香と恋人同士になって早半年が過ぎようとしている。

会話の合間の静けささえも、お互いに心地よいと思えるようになっていた。

今では2人でいることが当たり前すぎて、別々の場所に帰ることに違和感を感じてしまうほどだ。

晴香もそう思ってくれているのか、一緒に住むことをそれとなく提案されてはいたが、僕は曖昧な返事で誤魔化していた。


なぜなら…


今以上に一緒に居たら、彼女を求めすぎてしまいそうで怖かったから。

募るばかりの彼女への想いを、一人になって冷やす空間と時間が欲しかったから。



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