☆巡り逢う翼第1章☆
□悪いのは意地かプライドか…。
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ある休日の朝、小さな事件が起きた。
冴とエリの親友、東堂 海穂―とうどう みほ―とその恋人でありラークとレイスの親友でもある、壬生 龍聖―みぶ りゅうせい―の2人合わせて6人は、海穂の家に集まっていた。
彼等はいつも、このメンバーで学校でも過ごしている。
集まってしばらくして、家の主である海穂の個室から、明らかに尋常じゃない物の破壊音が響いてきた。
「なんか騒しがいなぁ…」
関西特有の訛りを持ちながら、龍聖が溜息混じりにそう呟く。
そんな友へレイスが一見、穏やかに見える微笑で返す。
だがこの微笑に龍聖は、毒気に当てられた様な表情を向けた。
「もうすぐエリが戻って来るから、スグ判るさ。それより、この不利な状況はどうするの?」
大方見当はつくけどね…、と思いつつ龍聖とチェスをしながら、レイスは彼の呟きに答えた。
龍聖はレイスに指差された、チェスボードを見て驚愕する。
「え!ホンマに!?」
「うん、チェックメイトしていい?」
「ちょっ、ちょっと待ってくれへん!?頼む!!」
チェスで押されている龍聖は、焦りながら必死に打開策を考えていた。
焦る龍聖をレイスは心底楽しそうに見詰める。
「ちくしょぉーっ!!」
今までにない大きな破壊音と共に、破壊作業をしている本人の、悔しそうな声が聞こえた。
「もう誰よ!?あんなに海穂を怒らせたのは!壊されてる物が可哀想!!」
呆れながら、もう手がつけられないといった表情をして、エリが部屋から戻って来る。
ある意味逃げて来たに近いかもしれない。