☆巡り逢う翼第1章☆

□第2話 裏切り者
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「な、何者って…あたしはあたしよ!どこにでもいる、普通の人間だわ!」

冴自身、ショックのあまり衝撃波の時の意識が曖昧で答えようがない。

「レイス…!その女に手ェ、出すなよ……?」

「……もし、出したら?」

レイスは凍り付く様な瞳で、警告するラークを鋭く睨んだ。

しかし、ラークはそれ以上にレイスを冷たく睨む。

彼の戦場で培って来た瞳は、親友のレイスでさえ恐怖に凌駕される。

「いくら親友―ダチ―のテメェでも…絶対ぇ許さねぇ…!!」

すると、レイスはラークの枷を攻撃魔法で無理矢理破壊する。

「…じゃぁ、君だけを殺せと…そう言いたいの?」

その表情は俯いていて、誰も確認出来ないが、ラークだけはレイスの気持ちを汲み取っていた。

「……あぁ!!」

力強く、だけれど苦しそうに返事をし、ラークは戦闘体勢に入る。

レイスが掌を冴に向けると、彼女に拘束魔法をかけた。

「なっ…何これ!?」

「そこで、大人しく見ていろ…」

冴は身動きが出来ず、二人のやり取りを見ている事しか出来なかった。

レイスは瞼を暫く閉じると、力無く笑い上を見上げる。

「僕、ダークに勝った事無いのになぁ…」

「……」

独り言の様に呟くレイスに、ラークは黙って聞き続けた。

「ダークってさ、真の力とSEAL mode…両方持ってるでしょ?」

「あぁ…上限の、LAST PHASEまで持ってる」

SEAL mode…力の属性及び魔法の種類に関係なく、魔力を増幅させる事が出来る。

それはPHASE1〜LAST PHASE(PHASE12)まで段階が組まれていて、数字が上がる毎に効果も上がっていく。

しかし、SEAL modeを展開させるには、それに耐えうる肉体が必要。

「…やるしかねぇか…っ」

「うんっ…行くよ!!」

戦闘開始すると、ラークはいきなり炎系の最上級攻撃魔法を使った。

「フレア!」

一直線に来たそれに対してレイスは、氷雪系の最上級防御魔法で、ラークの攻撃を無力化した。

周囲には生暖かい嫌な爆風が起きる。

「きゃっ…!!」

その後も、繰り返された交わる金属音。

時には魔法で出された盾にぶつかり、半透明の盾は甲高い音を立てて壊された。

どんどん苛烈を極めた戦闘になっていく。

「二人共止めて!ラーク!!レイス!!」

「煩いなぁ…耳障りだ」

邪魔され苛立ったレイスはそう呟くと、冴の手前で手を大きく円形に振るう。

その瞬間、冴を囲む様に、真っ暗で大きな穴が出現した。

「あれは…!止めろー!!」
















第2話  fin.


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