★第壱章 番外編&短編集★

□運命〜Intertwine felling〜第3話
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―PHASE3 Awakening―






それは、またしても突然だった。
















ラークが幽閉場所を変更されて、2年余りの月日が流れる。

それまでの間も彼が、あの二人に会う事は無かった。

更にそれから数ヶ月後、漸く魔王からラークの幽閉解除の許可が下りた。

「魔王陛下より謹慎解除の命が下り、因って明後日からは通常任務に就いて頂くご予定です」

担当官と思しき者が淡々と、事務的に書状を読み上げていく。

それを呆然としながらラークは耳に入れる。

「詳しい任務内容につきましては、後日改めましてご連絡致します」

最後迄感情を微塵にも感じさせない物言いで担当官は伝え、何事もないかの如く退室していった。

ラークに話かけ彼の言い分を聞こうともせず、自らラークを励まそうともすらせずに。

それはまるで始めから、ラークが傷悴しきっていようと興味ない様な、どうでもよさそうな。

若しくは、極力関わる事を忌み嫌い畏れ、口を利くのも憚らんと言いたげな行動。

心温かい者から見れば、まだまだ子供に対していい年の大人がするには、あまりにも酷過ぎる仕打ちと嘆き感じるだろう。

「…始めから自由の翼をもがれた俺に、謹慎解除なんて言ってもな……」

"解放されたとは思えねぇや"と、力無く呟いて乾いた笑みを一人浮かべる。

昔から散々大同小異な反応をされてきたラークには、これも彼自身としては人並みに慣れていた。

更に今は精神的疲労がまだあり、どうでもよくさえ思えた。

最早ラークは自分自身を、励ましたいと思う存在として認めて貰おう等という、嘗て必死に縋り付いていた希望に手を伸ばす事もしない。

今出来るのは目の前の絶望に、身を委ねて漂う事だけ。

一先ず幽閉場所から自室へ帰ろうと、ラークは視点の先から、誰かの気配がして彼はふと何気なく立ち止まる。

いくらぼんやりしていてもさすがに、自分はまだ城内に居ることは分かっていた。

だが遠巻きの視界に入った足元は、城内には不釣り合いな濃紺の靴下と黒い革靴。

故に、その様な出で立ちの人物がいるのが不可解で、ラークはゆっくり顔を上げた。

顔を上げると人物の後ろから、陽の光りが逆光となって差し込んだ。

ラークは目を細めながら、人物の正体を確認する。

「…カレン、か……?」

「ラークっ…!!」

カレンは待ち望んだ者の姿を確認すると、若干涙目でラークの許へ飛び込む。

「わっ!か、カレン!?」

ラークは声を酷く上擦らせた。

突然飛び込まれたうえ、半ば抱き留める体制な為、恥ずかしさと戸惑いに頬を赤く染めだす。

ラークは自身の心拍音が煩わしく感じ、カレンに聞こえてしまうのではないかと思った。

カレンは今、17歳―……

ラークは今、13歳―……

成長期を終え始めているカレンは、女性の割には身長はやや高めである。

しかし、これからが成長期の筈のラークは、既に彼女よりほんの僅かに身長が伸びていた。

体制的に見下ろす形となったラークは、愛らしく見上げるカレンに一瞬、自身の理性が飛びそうになった。



 いやいや!!何考えてんだ、俺!?



「ら、ラーク、大丈夫?」

ラークの体から離れたカレンは、突如首を大きく左右に振ったラークを、心配した表情で見詰めた。

「あぁ…俺は、大丈夫だ」

ぎこちなさを残しながらも、ラークは懸命に返事をする。
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