☆巡り逢う翼第1章☆
□Slip one's mind 第1話 全ての始まり
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魔界最西端FLAME国…けして大きな国領ではないが"魔界の中で1・2を争う程の強大な軍事力を持つ国"として、名の馳せた国である。
首都郊外の広大な王宮敷地内には、王族及び王族関係者のみが出入り可能な屋敷がいくつか存在するのだ。
そして敷地内の最も端には、周囲の屋敷に比べやや小振りだが、辺りの中では最も歴史的な趣を感じさせる屋敷がある。
大人びた一人の少年が年頃には似つかわしくない、小さめな銃等の装備を確認し屋敷の玄関に立っていた。
「ではラーク様、行ってらっしゃいませ。貴方様なら、必ずやこの任務をこなせるでしょう」
少年と向き合う形でいる一人の執事が、人間界へ向かう彼を事務的な笑顔でそう讃える。
「あぁ」
"ラーク様"と呼ばれたのは、眉下までの前髪と右だけ鎖骨下まで黒髪を垂らし……。
残すサイドから後ろ髪は茶髪をした少年。
やや丸みの面影を残すもすっと細まる目。
焦茶色の瞳に力強い生気は見受けられず、寧ろ冷え切っていると表してもいい。
上下深紅で、畏まったデザインは軍服なのだと主張していた。
そして嘘くさい相手に、返事のみの冷たい一言を発し彼は屋敷を出る。