うたかたの幸いをこの手に
□双子と服とテスト事情
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ここは浩人の部屋。
俺は休んでいた時に聞きそびれた定期試験の課題やポイントを聞きに来たのだ。
快く教えてもらえたものの、途中から愚痴になってきて……、今に至る。
俺はベッドの端に腰掛けて、勉強の邪魔だと一蹴された物の怪を膝に乗せていた。
「本当にもうっ! なんでテストなんかあるんだよ。
くそー!
テスト範囲はやたらと広いし、
頑張って下さいねっなんてわざとらしく言うし、
そういうのが生徒のやる気をなくしてるんだって
分かれっつーの!」
ガァーっとまくしたてて、
さっきから手は一向に動かしていない。
「はぁ」
なんとも気の抜けた返事を返して身をすくめた。
そろそろ勉強に戻れよ、と言いたいのは我慢だ。
火に油を注ぐようなことはしたくない。
物の怪も呆れたようにため息をついた。
散らかった浩人の部屋から推し量るに
彼も随分苦労しているのだろう……。
浩人の勢いはまだ止まらない。
もうしばらくは覚悟しておいた方がいいだろう。
ふぁ……っと小さくあくびをした。
そういえばお昼ご飯を食べたばっかりだ。満腹感が眠気を誘う。
眠い……。
こっくり、こっくり
船を漕ぎ出し、
物の怪を抱きしめて眠ってしまった……。