つぼみ

□つぼみ 本編
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Yutaka side

「ゆたか、また明日!!」
「うん、またね。しゅうちゃん。」

友だちであるしゅうちゃんこと秀一郎(しゅういちろう)に別れを告げ、僕はある場所へと向かっていた。

また、今日が来ちゃったな…。

僕の名前は宮野 優(みやの ゆたか)。よく“ゆう”って間違えられるけど、“ゆたか”って読む。今僕が向かっているのは僕が一度死んだ場所。そして僕の両親が眠る場所でもある。まあ、細かいことはおいおい話すとして…。まあ予想できるとおり、僕の両親の命日だったりするんだな、今日が。両親は駆け落ち同然だったらしく、訳あってお金もなかったからお墓というお墓はない。一周忌の時に、石や草花で作った小さなお墓を両親が眠る海が見渡せる崖の上に秘密裏に作った。崖までいくのには深い森に入らなければならないから、滅多に見つかることはないのだけれど…。森の入口まで着いた僕は、最近気になりはじめた一つの疑問を思い浮かべながら崖までの道を上りはじめた。
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