long novel

□主の消えたモンスターボール
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この地方には双子の英雄達の昔話があって物心ついた頃からよくじいちゃんにはなしてもらったっけ


大人でも色んな観点からその昔話を解釈してもわからないものだし、当時のアタシには当然理解できる内容ではなかった


でも別に話の中身なんてアタシにはどうでもよかったんだ


ただじいちゃんの膝の上にのってじいちゃんからもらった大好きなカブルモ達と安らかなひとときを過ごすのが嬉しかったんだ


お父さんにもお母さんもお兄ちゃんが大好きでアタシのこと嫌いだからアタシの味方はじいちゃんとカブルモ達だけ…でも楽しかった


だってこんなにアタシの心が暖かくなっているんだもん、十分すぎる位に幸せだった


でもあの日あの事件がおきて細やかな幸せも壊れていった


全てはアタシが弱かったから


最も大事だったものを守れないどころか逃げだした臆病者だったから


だからアノ子と最後のお別れをした時に誓ったんだ


強くなって゛アイツ゛を倒すって


そのためには今までのアタシを全て捨てなきゃだめなんだ


アノ子が眠る場所にアノ子が入ってた破壊されたモンスターボールを静かに置いた


『行くよ、シュバルゴ!』
「シュバ…」


別れを惜しむシュバルゴに声をかけアタシはタワーオブヘブンを後にした


空っぽのモンスターボール


それから今までのアタシを心の奥にしまって
アタシはただ強さを追い求めるようになった…
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