荒川

□演奏
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『…何でこうなったんですか?』
舞台の上には人影が二つ。
星さんとリクさんだ。
確か私は星さんのライブに来たはずだ。
訳がわからなくて隣にいるP子さんに聞いた。
「…さぁ?でもニノが関係してるのは確かね」
『………はぁ』
「…ていうか絵面的に芸人ぽいわね…」
『隠し芸大会か何かですか?』
「それは違うでしょ…」
それ本人達に言ったらきっと泣くわよ。
と注意された。
どうやら先攻は星さんのようだ。

ピックを持ち、弦に指を重ねる。
前奏。
細かい音が刻まれていく。
「世界中の女の子が〜ワンレンになっても〜〜♪」
…ハッ。土に帰れよ。
っていうか何で皆、そんなに盛り上がっているの?
確かに曲も良いし音も外れてなくて上手いのは上手い。
けれど、歌詞がめちゃくちゃでしょ…?
『…………』
あぁ。そう。
歌詞なんて関係ないんだ。
問題なのはそこじゃないんだ。
着飾った歌詞。作られた言葉。
そんなものはただのオマケでしかないんだ。
そう考えるとこの曲も良いかもしれない。彼の歌。
気持ちを込めた唄。
うん。良いかも。
弾き終わった星さんに拍手を送る。
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