閑話

□03
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「そういえば……」
「『?』」
梟がレイトンの家に住み込んで数週間。
ロンドンの街にも本格的に溶け込んで数週間。
レイトンが教授として働くグレッセンヘラーカレッジにルークと共に彼の研究室を訪れるようになって数日。
今日も今日とでレイトンの研究室でアフタヌーンティーを楽しんでいる中、ふとソファの向かいに座るレイトンが口を開いた。
『どうかしましたか?』
隣に座っているルークも梟手作りのクッキーをかじりながら首を傾げた。
「いや、梟に聞きたいことがあってね」
『はい』
「以前のアロマがいた町の時の話なんだが」
梟は既に懐かしくもあるその時の事を思い出しながら、頷く。
「塔が崩れたときの事だ。君は一度階段から落ち、何か…、あれはキックボードか何かかな?…に乗って戻ってきた」
『あぁ…』
「あ!」
隣でルークがレイトンの言いたいことがわかったかの様に大きく頷く。
それを見たレイトンも一度頷き、再び梟を見た。
「あの時君は手に何も持ってなかったはずだ。一体、どこから出したんだい?」
梟は思わずキョトンとしてしまった。
その事についてなかなか言及されなかった
ので、自分が既に説明をし、説明したことを忘れているのだと勝手に思い込んでいたからだ。
『あ、あぁ…説明、してないですね…』
動揺を隠せないままに呟くと、二人は首を縦に振って身を乗り出してきた。
梟はそんな体に力を入れなくても…と思いながら、持っていたティーカップを机に置き、ウエストバッグを外した。
『まぁ、結論から言うとここから取り出しました』
今度はレイトンとルークがキョトンとする番だった。
それは明らかにボードが入るような大きさとはほど遠く、だからと言ってあのボードが折り畳み式の様にも見えなかった。
『えっと…、詳しく説明していこうと思うんですが、とりあえずその体制やめませんか?』
レイトンは前屈みに身を乗りだし、さも今からナゾ解きします候の雰囲気を醸し出し一方ルークはソファに手を置きながら、目はバッグをガン見している。
『そんな大層な物ではないのでホント気楽に聞いてください…』
そう言うと二人は何故か渋々体制を元に戻し、数刻前と変わりないくつろいだ座り方をした。
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