閑話

□02
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「…さて、どうしたものかな…」
ルークを家に送り届け、ロンドンで暮らしたいと言ったアロマの家を見つけるまで一時預かろうと話し合ったレイトン。
一旦アロマを自宅に入れ、残りの梟を眺めていた。
車の振動で気を失ってしまったのか目を覚まさない梟。
もちろん、彼女の家なんて知らず、持ち物を勝手に漁るのは英国紳士失格だ。
やはり家に入れて目を覚ますまで待つか。そう決めた時だった。
「あぁ、いたいた。そこの紳士さん」
ふと声をかけられた気がして、その方へと顔を向ける。
声に合うような妙齢な女性が立ってこちらを見ていた。
綺麗なブロンドヘアを一本でくくり、ポニーテールに。
白いワイシャツに動きやすい黒のストレッチパンツ。
ヒールを履いて姿勢を崩すことなく凛とそこに佇んでいた。
「私に何か?」
梟を抱き抱えようとしていた腕を外し、彼女へ向き直る。
「あぁ、実際に用があるのはそっちの子でね。その子を引き取りに来たんだ」
そう言って女性が指差したのは梟だった。
「失礼ですが、貴女は…?」
「私?…そうだね、強いて言うなら彼女の上司とでも言おうかな」
「上司…」
そう言えば、彼女はあの町に仕事で来たと言っていた。
にしても、強いて言うなら…?
その言葉にレイトンは妙な違和感を持つ。「ふふふ…。知りたそうな顔をしてるね」「っ!」
そんなに顔に出ていたのか。
レイトンは顔を一瞬背けた。
「……知りたいかい?彼女の正体」
「…ぇ?」
知らない間に彼女はレイトンの横に付き、梟の肩を持ってこちらを見ていた。
「…………私は、まだ彼女についてのナゾを解いていない」
教えてもらえるのなら、教えてほしい。
レイトンは、そう続けていた。
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