荒川

□芋堀
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収穫の秋がやってきた。
私が此処に来て早数ヵ月。
荒川の住人ともだいぶ打ち解けてる。
空気も乾いてきて空が高くなっていく今日この頃。
私達はP子さんに頼まれて畑へとやってきた。
どうやら芋掘りを手伝って欲しいらしい。『芋掘りですかー。小さい頃にやった以来ですね…』
懐かしいなぁと思いながらリクさんを待つ隣では、星さんが器用に芋の蔓を使って冠を作っていた。
暫くすると、P子さんと鉄人兄弟が騒いでいる。
やっとリクさんが来たようだ。
「今日のおイモ掘りしっかり働いてもらうんだから!」
P子さんが元気に言った。
「それにしてもアンタも頼めば来てくれるのね〜」
「俺だけ手伝わないのは気持ち悪いですから」
そうそう、このリクさん。
どうやら仕事を見つけたらしい。
実際に見たことはまだないけれど教師をやってると聞いた。
やっとヒモから脱出できたんだね。
「それに俺は…」
何だか大きいかばんを開ける。
バッ
「やるなら」
キュッ
「とことんやりますから!!」
エプロン、手袋、三角巾、マスクを装着した。
「あんた手術でもするつもりなの」
見た目はスーパーの調理部隊の方だけど。「"何事も完璧に"が市ノ宮のモットーですからね!」
はいはい。
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