荒川

□競争
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暖かな風の吹くこの季節。
橋の下では一大イベントが行われる。
「じゃあリク…私は河口で待っているからな」
瞳にほんのり憂いを含んだ目でニノさんはリクさんに伝えた。
「…ニノさん、売られていく子牛のようですね…」
「まぁ、誰が買ったっていう想定なのかしらね!」
その光景を見ていたマリアさんが突っ込む。
私の頭の中はドナドナでいっぱいだ。
「女の子達ーそろそろ出発するわよ。リクもスタートラインに戻んなさい!」
そう言ってP子さんはトラックのエンジンをかけた。
ご丁寧に初心者マークまでついている。
「優勝者には美女達からの祝福よ〜〜」
「てゆうかP子本当に免許取れてるんだれうな!!」
リクさんの叫びも虚しくP子さんは素晴らしいドリフト走行で河川敷を駆け抜けて行った。

そう、今日は――…
荒川河川敷、春の大マラソン大会である。
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