長編小説
□赤き咎人 V
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「グリーン、やっぱり此処にいたのね!!あと三日は絶対安静だって、何度言ったら分かるの!?」
オーキドの研究所に、ブルーの怒声が響き渡る。
彼女の目の前には、体のあちこちに包帯を巻き付け、パソコンの前に座っているグリーンがいる。
オーキドは研究所を空け、ナナミも外出しているため、家にいるのはグリーン一人になる。
グリーンは医者から絶対安静を言い渡され、家で寝ている筈だったのだが。
「…俺一人だけ、じっとしてなんていられないだろう。ミュウツー、ホウオウに加えてルギアまで、レッド……R団の手に渡ってしまっているんだ。早く探し出して、なんとかしないと…」
グリーンがパソコンに開いているのは、メール画面。
オーキドの研究者仲間や古い知り合い等に、情報を募るメールを送っているのだ。
ポケモン研究のオーソリティ、オーキド博士は様々な方面に人脈をもっていて、それはカントーだけでも何百といる。
オーキド一人ではとても全てを当たれないのも事実だ。
しかしブルーは引き下がらない。
「だからって、無理ばかりしてたら治らないわよ!!それこそいざというとき、戦力不足で対応できなくなるじゃない」
「……」
正論だ。
「イエローやシルバー達も、もちろんこのアタシだって、全力でカントー中、ジョウト中を探し回ってる。…だから、あと三日だけ大人しくしてなさい!!」
理屈ではブルーが正しい。
そんなことは、分かっている。
「言われなくても、分かっている…」
力なく返事を返すグリーンは、先程まで繋がっていた通信を思い出す。
それは、グレン島から繋がった通信――ようやく意識が戻った、カツラとの初めてのコンタクトだった。
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