長編小説

□赤き咎人 V
1ページ/23ページ





「グリーン、やっぱり此処にいたのね!!あと三日は絶対安静だって、何度言ったら分かるの!?」



オーキドの研究所に、ブルーの怒声が響き渡る。



彼女の目の前には、体のあちこちに包帯を巻き付け、パソコンの前に座っているグリーンがいる。


オーキドは研究所を空け、ナナミも外出しているため、家にいるのはグリーン一人になる。

グリーンは医者から絶対安静を言い渡され、家で寝ている筈だったのだが。



「…俺一人だけ、じっとしてなんていられないだろう。ミュウツー、ホウオウに加えてルギアまで、レッド……R団の手に渡ってしまっているんだ。早く探し出して、なんとかしないと…」


グリーンがパソコンに開いているのは、メール画面。

オーキドの研究者仲間や古い知り合い等に、情報を募るメールを送っているのだ。


ポケモン研究のオーソリティ、オーキド博士は様々な方面に人脈をもっていて、それはカントーだけでも何百といる。

オーキド一人ではとても全てを当たれないのも事実だ。


しかしブルーは引き下がらない。


「だからって、無理ばかりしてたら治らないわよ!!それこそいざというとき、戦力不足で対応できなくなるじゃない」
「……」

正論だ。

「イエローやシルバー達も、もちろんこのアタシだって、全力でカントー中、ジョウト中を探し回ってる。…だから、あと三日だけ大人しくしてなさい!!」



理屈ではブルーが正しい。
そんなことは、分かっている。


「言われなくても、分かっている…」


力なく返事を返すグリーンは、先程まで繋がっていた通信を思い出す。





それは、グレン島から繋がった通信――ようやく意識が戻った、カツラとの初めてのコンタクトだった。






.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ