孤島のミネルヴァ

□囚人島
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「…この島にいた我々が
 生き残れたのか、
 それは正に、罪を償い、
 日々神に祈る我々の
 真摯な眼差しに心打たれた
 神からの思し召しなのだ。」


そう言い終わるか、
終わらないかのうちに、
チャイムが
つまらない授業の終わりを告げた。

「じゃあ、ここまで」

隣の席のアズマが、
その合図で席に座るのを
横目で確認すると、
ふっと目があった。


「何賭ける?」

ニヤリと笑うアズマに

「夕食当番」

そう笑い返した。


「次は体育だから、
 急いで着替えて
 移動しなさい!」

教室に響き渡るような声で
先生が指示した。


窓から見える校庭では、
既に体育の授業を終えた
生徒たちが
ゆっくりと校舎に戻って
くる所だった。

その奥に見える街には、
この2階建ての校舎以上の建物はない。


街の奥には
微かに海が見える。

その先の白い入道雲。

あれが海と空との境界線なのだろう。



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