神も魔も

□神も魔も
1ページ/2ページ

それは、
唐突だった。

「ウララ、お前は今からわしのもんじゃ」

僕の何を気に入ったのか解らない。

「お前はわしが、えぇよおにつこうたる。安心せぇ」

ケタケタ笑う彼を、
きっと情けない顔で見ていたに違いない。

何に安心できるのか?
むしろ、
今既にもう不安なのだけど。

――だけど。
その褐色がかった瞳が、
チラチラ揺れる度に。

ゾクリとする感覚が、
言葉に出来ない胸の衝動が。

もう、
それだけで彼に囚われているのだと。

悟らさせた。

北浦 由香(キタウラ ユカ)。
通称ウララ。

今日は、
珍しく風の強い日で。
どんよりと曇った空と、
生暖かく湿った空気が嵐でも呼びそうな。

何とも転校初日に何かあるぞ…と。
言いたいばかりの、
そんな日だった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ