神も魔も
□神も魔も
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それは、
唐突だった。
「ウララ、お前は今からわしのもんじゃ」
僕の何を気に入ったのか解らない。
「お前はわしが、えぇよおにつこうたる。安心せぇ」
ケタケタ笑う彼を、
きっと情けない顔で見ていたに違いない。
何に安心できるのか?
むしろ、
今既にもう不安なのだけど。
――だけど。
その褐色がかった瞳が、
チラチラ揺れる度に。
ゾクリとする感覚が、
言葉に出来ない胸の衝動が。
もう、
それだけで彼に囚われているのだと。
悟らさせた。
北浦 由香(キタウラ ユカ)。
通称ウララ。
今日は、
珍しく風の強い日で。
どんよりと曇った空と、
生暖かく湿った空気が嵐でも呼びそうな。
何とも転校初日に何かあるぞ…と。
言いたいばかりの、
そんな日だった。