お話3

□To hell with sex!!
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きっかけは銀時の仕事だった。最近ホテル街をうろついている彼氏の尾行を一緒にしてくれ―よくある浮気調査だが、タイミングがいけなかった。場所もいけなかった。女性と二人きりだったということもいけなかった。

そのホテル街で土方とばったり会ってしまったので。

「土方さァん何で最近の攘夷派ってみんなこぞってラブホに泊まるんですかねェ、全員ホモ野郎だったりして、土方さんもケツ狙われねぇようにした方がいいんじゃねぇのかィ」
「知るかよ身元がわかりにくいんじゃねぇの」
「じゃあ無事に捕まえられたら一回あのピンクのとこに泊まりやすか、ご褒美ってことで」
「ぜってーやだ」

またまた照れちゃって、と沖田が茶化している。人に見られてはまずいという依頼人と一緒に建物の影に隠れていたが、二人がこちらに向かって歩いてきているので見つかってしまいそうだ。特にあの沖田がいるのなら尚更。でもなかなか身体が動かない。いたずらが見つかってしまったような、いやもっと重大なこと。頭が真っ白になっている。

堂々と仕事だと言って近づけばいいのだろう、でもそれがすぐに出来ないのは、たとえ仕事だとしても罪悪感があるからかもしれない。
浮気ーこれは浮気になるのだろうか。ただの仕事だけど、土方はどう思うのだろうか。
ストイックで淡白な人間なのだが、あれでいて中々に自分のことは好きらしい。拗ねられたら面倒だ、などと余計なことを考えていた銀時の近くを、その二人が通った。

「あれ、旦那がいらっしゃいやすぜ土方さん、それも女と」

銀時達の張り込み場所を覗きこんだ沖田が嬉しそうな声を上げた。建物の隙間を覗く癖は警察なら仕方ないのか、続いて覗きこむ土方に思わず頭を抱える銀時である。

「張り込み方がなってねぇな、これじゃあ監察の端くれにもなれねぇわ」
「ちげぇよありゃ張り込みじゃなくてデートだぜィきっと」
「そっか、じゃあ邪魔しちゃいけねぇな」

ちらりと銀時を見て土方が笑った。挑戦的な、…酷く妖艶な笑顔。

「ひっ土方くん、仕事だからね、依頼だからね!」
「うわ、ベタな嘘つきやがったぜィ」
「総悟、行こ」
「へーい」
「何人捕まえられっかな」
「そりゃ土方さんがここで脱いだら何人でもわいてきやすよ」
「俺が頑張るのかよ」
「じゃあ俺が頑張りやしょうかィ?」
「…じゃあ、」

総悟が頑張ってくれたら万事屋さんにホテル紹介してもらうか、などと言いながら笑って歩いて行く二人の後ろ姿を見て、銀時は思わず叫び声を上げた。
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