SSS

□Whenever you like.
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土方くんこっちこっち、と声をかけられる。朝から頭の痛くなる声だ。どうしてわざわざ屯所に、それも隊士の集まる食堂に来るのだ。一家そろって。坂田さん一家が。

無視しようとすると余計に大きな声をだして呼んでくるのでおとなしくそちらへ行った。

「はい、お前のぶんとっといたからな。おはよう土方」

ため息をつきながら隣に座ると、あごを掴まれて口づけられる。もう知るか、今日は厄日だ。副長室に引きこもってやる。

「すみません土方さん、実は僕たち全員飢え渇いていまして」
「トシちゃんもごもごもご」
「いい、食べながらしゃべるな」

申し訳なさそうな顔をするがご飯をかきこむ手は休まない新八、そしてものすごい勢いでひたすら目の前の食糧を消化していく神楽。

「…どういうつもりだ」
「や、ほんとに危なくてさ、ここへ来るのも必死だったんだよ」
「あー…そう…」
「あれ、元気ねえな、銀さんの玉子焼きやろうか?」
「いらねえよ」

もうかんべんしてくれ、と土方はテーブルに突っ伏した。隊士たちの視線が痛いくらいに刺さる。

「なあ、なんか一家団らんって感じがしていいよな、こういうの」
「銀ちゃんまたこういうの企画してヨ」
「いいですね、僕たちもお腹いっぱい食べられますし、銀さんも土方さんの様子見に来られますし」
「おう、てことで土方、また来てもいいか?」
「あーもーいいですいいです勝手にしてください…」

投げやりに言った土方の肩を抱いて、銀時は言う。

「だから土方も、いつでもウチに来たらいいよ」

口の端にご飯粒がついた状態で目を煌めかせてんじゃねえや。土方は呆れたように笑って、ご飯粒をとってやった。それを食え食えと銀時がうるさく言う。これ見よがしに口に入れてやると真っ赤になって固まった。いい気味だ。






いつでも都合のいいときに。

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