SSS

□寝癖論
1ページ/1ページ

「あれ銀さん、なんか天パがいつもよりひどくないですか?」

その言い方のほうがひどくね?と銀時はあくびをしながら新八を見る。新八はもう銀時からは視線を外して、おはようございます、とソファに座る土方に挨拶をしていた。
昨夜万事屋に泊まった土方は、今日の非番をずるずるだらだらとここで過ごすことにしたらしい。というか銀時がそう決めた。というかいつもそうだ。もう何度も見る光景だ。
新八も神楽も、いつもどおりといった顔をして、朝、帰ってくる。

「それにしても今日の銀ちゃんの頭はすごいアル!大爆発ネ!」

面白いものを見たと神楽がげらげら笑う。

「あー、寝癖だよ、寝癖」
「一体どんな寝方したらそんな爆発が起きるんですか」
「知らねーよ。寝“癖”だからな。く、せ、はどうにもなんねぇわ」
「銀ちゃんどこか臭いアルか?」
「ちげぇよ!く!せ!癖だよ!」

がたん、と音がする。見ると、土方が万事屋の机に足をぶつけたらしい。
顔が、赤い。

「あーあ、なくて七癖っていうけどよォ、なかなか治んないもんなんかね」
「銀さん、寝癖はそれとは違うんじゃ…」
「いーや、癖だよくせ」

銀時は、ニヤリと笑う。
土方はどんどんソファの端によって、縮こまっていた。

「ねー、土方くん」

土方は膝をたてて、それで顔を隠した。

「トシちゃんに言っても治らないネ」
「いーんだよ、土方は治す気ないらしいし」
「あれ銀さん、寝癖が土方さんの癖みたいになってますけど」
「トシちゃんと天パが関係してるアルか?」
「えへへ、内緒」

銀時はだらしなく笑って、土方の隣に座った。またわけのわからないノロケが始まったぞと、少年たちは銀時を無視して、それぞれ好きなことをし始める。

「まさか土方にこんな癖があるとはなあ」

土方は、天パを掻き回す癖があった。それは主に銀時とキスをしているときだとか、情事のときだとか。ぐちゃぐちゃに天パをかき混ぜて、快感をやりすごす、そんな癖があった。
いつもは風呂で髪を洗えばだいたいもとにもどる。

「そんなに気持ちよかった?」

土方のこたえは無視、それだけだ。何も返してこないけれど、天パの絡まり具合から、土方がどれだけ快感を拾ったかは推測できる。
土方を抱いたあと、昨晩も風呂に入った。
洗ってももとにもどらないほどの天パの絡まりようを、今朝は新八たちに言われたのであった。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ