SSS

□爆弾投下
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今日は若いお姉さんに声をかけられた、逆ナンだよあれ、と少し大げさに話してみる。副長室で書類と睨みあう土方は、ふうんと生返事をしただけだった。

「なあ、妬かねぇの」
「べつに?」
「銀さんとられたらどうすんの」
「お宅の坂田さん、男のケツが大好きで、俺にひでぇことたくさんしてましたよって全部教えてやるかな」
「うわ、きっついね」

土方はいたずらっ子のように笑って、それから、逆ナンかあ、とつぶやいた。うらやましいか、そうかそうか。

「お前、」
「ん、なに?」

すると土方が突然ずいっと寄ってきて、至近距離で顔を見つめられた。キスをしても、そんなことはどうでもいいと言わんばかりに、なんの反応も見せてくれなかった。俺の顔を吟味するように、目を細めて眺める。

「あれだな」
「どれだよ」
「逆ナンの真相がわかった」
「ほう、気になるね」
「お前、俺と付き合ってから、かっこよくなったんだ」

俺は盛大にむせた。やめろ唾が飛ぶ、と土方に頭を叩かれたけれど、これには俺も対処のしようがなかった。

「ひっ土方は、昔も今も可愛いぞ」
「なんだそれ、気持ち悪ィ」
「今の俺かっこいいんだろ、気持ち悪ィとか言うな」
「うーんそれがなあ」

たいしてかっこよくもないときのお前に惚れたとか、すげえ腹立つ。
土方は結局俺に文句を吐いて、また仕事にもどった。珍しく顔が熱くなっている俺のことなんて知らずに。

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