SSS

□ひだまりとあなた
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隣の家と万事屋のすき間からさしこんだ朝日を受けて、土方は光っていた。
寝室のはしっこ、布団の外。窓の外には隣の壁が見えるだけ。それでも、どこからかやってきた光を土方は知っている。

「この時間は、ちょうどここに光があたるんだ」
「へえ、はじめて聞いた」
「お前んちだぞ、知らなかったのか?」

白い肌を、光がするりと撫でていくみたいだった。
俺の方がこの家に詳しいじゃないか。斜め上を向いて、目を細めて笑う彼があまりにも綺麗だ。

「窓のふちにほこりがたまってる」

明るいからよくわかる、と言う。

「…俺、ここほこりまみれだけど、…万事屋が好きだな」
「いいだろ、やっぱ結婚したらこっちに住もうぜ」
「ええー割り箸のさきっちょに布巾巻きつけてさ、なんかほこりとるやつとか、めんどくせえなあ…」

ふっと息を吐いて、土方のまわりのほこりが動いたように見えた。
銀時は彼を手招きして、腕のなかにおさめた。この小さな空間を気に入ってもらえていることが、すごく嬉しかった。

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