SSS

□無意識の甘えた
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土方は動かない。
ソファに丸まって眠る土方はびくともしなかった。布団に移動しましょう?と新八が声をかけてもくぐもった声を出して余計に小さくなるだけだった。力持ちの神楽が運んでやろうかと言って持ち上げようとしたけれど、うーんと抗議の声をあげながら、いやいやというように頭を振って拒否した。
居間じゃうるさいだろうと思って寝室行きを提案してみたのだけれど。

「たでーまー、オーイ依頼人からお土産に米もらってきたからよー、神楽ー手伝えー」
「しーっ銀ちゃん!トシちゃん寝てるアル」
「え、なに?土方来てんの?」
「居間で寝てますから、うるさくしたら起きちゃいますよ」
「あー大丈夫大丈夫、あの子けっこうどこでも寝れるタイプだから」

銀時は米を神楽に任せて、居間に入ってきた。目を細めて愛おしそうにソファの上の土方の頭を撫でる。

「銀さん、土方さん布団に運んであげてくれませんか」
「あ?おーそっちの方がいいか?土方、布団いく?」
「んー…」
「ほら抱っこしてやっから」

土方は簡単に動いた。
抱き上げられた土方の腕と足はたぶん無意識だろう、ゆるゆると銀時の背中に回る。木につかまるコアラのような状態になった土方は銀時の肩に頭をぐりぐりと押しつけて、また動かなくなった。

「僕と神楽ちゃんじゃ全く動かなかったのに…」
「俺には従順って?へへー可愛いだろ」

銀時は子供をあやすように左右に小さく揺れる。自分と同じくらいの体格の男を抱っこしている様子はおかしかったけれど、銀時も怪力の持ち主だから容易なことなのかもしれない。なにより、平和で優しい雰囲気だった。
寝室に消える銀時の背中を目で追うと、土方の手がぎゅうっと銀時の着流しを握って、しわを作るのが見えた。

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