SSS

□坂田さんの愛の底なし沼
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これは夢だと思う。

俺の身体はどんどん沈んで、地面にめりこんでいく。万事屋のかたい布団の一部が柔らかくなって、俺はそこに沈んでいく。どうなってるんだろうか。
この前彼に言われて、布団を干すのを手伝ってやった時はそのかたさに引いたんだけれども、今日のは屯所の布団よりもふわふわとして柔らかい。その柔らかいところに、上から押さえつけられて、深いところまで落ちていってる気分。
沈んでいく。息もしづらくなっていく。これは死に近づいてる?なんて思ったけれど、身体はだんだん温かくなっていく。そして、嫌じゃないこの不思議な感覚。

手を伸ばしてみる。上に届きそうにない。銀時はどこにいるんだろうか、今ごろ俺のこと探してんのかな。あれ、これ夢なんだっけ。手が疲れたから、一気に力を抜いた。

「いてっ」

銀時の声が思った以上に近いところにあった。そこから、ぐん、と一気に地上へ。

「あぁ悪ィ、寝にくかった?」

前髪をかきあげられて、目を開けた。そこには相変わらずの万事屋の天井と、彼。どうやら俺に抱きついて乗っかって寝ていたらしい。
なんだよ。

「…お前かよ」
「へへ、お前があんまり可愛く寝てるもんで」

底なし沼にでも落とされたのかと思った。

「抱きついても嫌がんないし、お前」
「…あー、そう」
「そうそう。あ、腕かしてやるよ、明日休みなんだし、ゆっくり寝な」

底なし沼に落とされたのはやっぱり夢だった。沈んでいくだけで幸せになれる、変な沼。

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