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□DNA
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昼間にかぶき町で、走ってきた子供にぶつかられてわちゃわちゃしていたのを、土方はきっとどこかで見ていたのだろう。俺は気づけなかったけれど。

「やっぱり天パでくるくるなんだろうな、ちゃんとフォローしてやるんだぞ」

向かいのソファに寝転がっている土方はさっきから俺に子供ができたときの話をしていた。完全に酔っ払っている。
顔を酒で赤くした土方だけど、ここまで酔うのも珍しい。俺は土方が心配であまり飲めなかった。

「銀髪なのかな、憎たらしい奴が生まれてきそうだな」

やる気のない目がうつったらかわいそう、とか好き勝手言って笑ってやがる。見ていてほんとに、──本当に、痛々しくて。

「…なあ、お前と似てるところはねえの」
「ない」
「土方」

ため息がでた。

「何が不安なんだよ」
「なにも」
「俺、お前がいるなら子供はいらねえ」
「うん」
「だったら、なんで…」

土方の隣に移動して顔を覗きこむ。声は穏やかだったのに、泣いていやがったから、焦った。
頬をぼとぼとに濡らして、それでも綺麗に笑っている。ぼんやりとした目で俺を捉えると、新しい涙が流れたのがわかった。

「…ごめん、泣かせた」
「いいえ」
「お前とは離れないから、何も考えなくていいよ」
「いや、ただ…」

お前に子供ができたら可愛いんだろうなって。

「子供ができたら遠慮しないで見せてくれよ」
「だからいらねえって。女もいらねえよ。怒るぞ」
「…怒ってくれたらいいのに」
「え?」
「子供もできねえ、いつ死ぬかわからねえ、それに人斬り…怒ってくれねえから、余計に嫌になる」

涙は止まらない。

「お前が子供好きなの知ってるし、普通に幸せになってほしいのに、お前が優しいから甘えてる。こんなナリで捨てられたくないとか思ってる。俺は嫌な奴だ」
「お前…」
「嫌な奴だから、いらなくなったら、捨てるなり斬るなりしてくれたらいい。優しくされるのが一番つらい」

胸がぎゅうっと痛くなった。
土方は酔っている。考えが飛躍するのもおかしくない。けれど、今確実に、俺は彼を泣かしていた。それが嫌だった。

「土方、どうしてほしい」
「…お好きなよーに」
「じゃあ、抱くよ、優しくする」
「…ああ、…嫌がらせ」
「違う。お前が好きだからだ」

土方はゆっくりと目を閉じて、震える息を吐いた。

「…好きのついでに」
「うん」
「今日だけ、ちょっと、…助けてほしい」
「うん、…おいで」

胸の上にあった手は苦しそうに着流しをぎゅっと握りしめて、しわを作った。たまらなくなって、土方を引っ張って抱き寄せた。震える身体はしばらくしてから元に戻った。

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