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□血縁
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目を開けると、機嫌のよさそうな銀時の顔が視界いっぱいにあった。頭が痛い。
「アレだな、眠り姫のお目覚めってやつみてえだな」
「…寝込み襲ってるだけだろ」
思った以上に声が掠れて、土方は顔をしかめた。顔しか動かない。包帯でぐるぐる巻きにされた身体は病院のベッドに放られて、管みれになっていた。
「おはよう、痛いとこねえか?」
「…ああ、大丈夫」
「そりゃよかった」
笑う銀時は、きっと沖田あたりから連絡をもらってやって来たのだろう。どのくらい寝ていたのかはわからない。
「なあ、いいこと教えてあげようか」
「…なんだ」
「俺の血、お前に輸血したんだよ」
「ち?」
「漫画みてえじゃねえ?輸血だって、輸血。お前には今、俺の血が流れてるんだってさ」
ああ、そりゃ元気になりそうだ。土方は少し笑った。
「でも超健康体の俺の血が入ってんのに、やっぱり顔は白いな」
「お前いつも言ってる、元からだ」
「そうか」
まばたきをして、ゆっくりと、二人は唇をあわせた。
「忘れるなよ、お前は俺の血を持ってんだ」
「それはもう聞いた」
「俺本体もいるし、身体の中も守られてるんだぞ、お前はもう無敵だ」
「…そうだな」
本当にそんな気分がした。
もう無駄に血を流すこともなくなるだろう。銀時の血はいつかなくなるかもしれないが、土方はきっと、この先ずっと自分の血液を大切にするだろう。大切な人の血液だから。
「…輸血か」
「んー?」
「喜べ、晴れて血縁関係だぞ。お前が好きそうだ」
「ああ、俺すげえ喜んでるよ。お前も元気そうだしな」
ふふん、となぜか得意気に笑う銀時の腕に、絆創膏が貼ってあるのを見て、土方は小さく礼を言った。銀時にはちゃんと聞こえた。