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□彼氏自慢
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団子屋の店先、長椅子に座った銀時は通りを行き来する人々、主にカップルたちを眺めていた。仲良さげに腕を組んで歩く彼らを見ながら、やっぱり俺の恋人がダントツだと満足しているのだ。
その恋人は、銀時の隣に座っているのだが、ぽかぽかと暖かい昼の陽気に負けて、頭を時折小さく揺らしながらうとうととしている。非番だから、いつもより気が緩んでいるのだろう。多少緩んでもらわないとこっちが心配になる。

「なあ土方ー」

通りを眺めたまま言うと、薄目の土方は、うんん?と眠そうな声で返してきた。

「あのカップルさ、もうセックスしたのかな」

銀時の視線の先には、お世辞にも美男美女とは言えない二人が手を繋いで歩いていた。しかし本人たちは至って幸せそうだ。

「だってあのひょろい男だぜ?うーん想像できねえ。彼女の方もちょっとなー…」
「お前に言われるとか、気の毒だな」
「お前どう思う?」
「さあ、付き合って早々身体の要求をする男はたくさんいるからな、お前みたいに」
「ええーあの彼氏と一緒にすんなよ、俺の方がよっぽどカッコイイよ」
「本人に直接言えよ。興味ねえ」
「もうベッドインした?なんて聞かれて答える奴には見えないね。あいつ絶対ヘタレだ」
「はーそうですか」

組んだ足の上に頬杖をついて、前かがみになって目を閉じている土方。どこから見ても綺麗だ。

イケメンとか、男前とか、そんな部類に必ず入るこの土方が、男の下で喘いでいるなどと誰が思うだろう。その煙草をくわえている口で、男のアレをアレすることがあるなんて…と銀時は土方の唇を見つめながら思った。無論、男というのは銀時のことだ。

「…でも俺」

目を閉じたまま土方は笑った。

「ん?」
「坂田銀時と寝たのって聞かれたら、寝たって答えるだろうな…」

銀時は団子を喉に詰まらせた。

「…じっじゃあ、どうだったって聞かれたら?」
「さあな。あんたも寝てみたら?って言うかな」
「お前、…お前、機嫌いいんだな今日は」
「そうか?」

寝ぼけていて頭が回っていないのかもしれない。

「…まあ、そこ通り過ぎていく人たちと張り合えるくらいには、俺もいい人と付き合ってるかなあって、思ったから」

銀時の頭も回らなくなって、とにかく土方をぎゅうぎゅうと抱き締めるしかできなかった。

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