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□世界一無防備な男
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大変だった、と土方は肩を揺らして笑う。少し酒の入った顔は、ほんのりと赤い。
夜の副長室は静かだ。銀時の存在を知って誰も近寄らないからなのかもしれない。

「何が大変だったの」

土方の前髪を梳いて問う。彼に触れるのは久々だった。

「今日は城で会議があったんだけど、今朝その打ち合わせを総悟としてたんだ」
「うん」
「前にウチの戦力に文句を言ってきた奴がいてな、ウチは総悟がいるんですって、なんなら直接見せてやろうと思って」

そこで、もし幕臣に、沖田に頼るなら、沖田でも倒せない人間がいた場合どうするのかと聞かれたら何と答えるかということを話していたのだそうだ。

「総悟に、倒せない奴っている?って聞いたら、一人いるってさ」
「それって俺?」
「なんだよ、自惚れんな。正解だけど」
「やった」
「で、総悟にどうやって倒すんだって聞いたら、すげえ作戦もってやがってさ、会議中に思い出し笑いしそうで大変だった」

また笑う。
気になるな、教えろよ。嫌だよ、お前を倒す作戦だぞ、なんで敵に教えなくちゃなんねえんだ。
そんなくだらないやりとりをしばらくして、土方はやっと口を割った。もともと話すつもりだったのだろう。

「時に坂田銀時さん、あなたが一番無防備になる瞬間はいつでしょうか」
「うん?急に問題?えーっとなあ、寝てる時?それかトイレかな」
「甘いな」

ちっちっち、と人さし指を振って土方がニヤリと笑う。機嫌がいい。

「総悟の作戦はこうだ。俺を抱いているお前が、射精をした瞬間にズブリと刺す」
「ええっ、…そりゃイク時は無防備だけどさァ」
「面白えだろ、せっかくだから腹上死させてやるってよ」
「他人事みてえに笑うなよ」
「斬った後硬直して抜けなくなったらどうしようだって、くく」
「ふはは、なんじゃそりゃ」

くだらねえ、と銀時が笑う。

「どうせならお前にお願いしてえな」
「そんな余裕ねえっての」
「おっと情熱的」

銀時は土方の隣にずずっと移動した。いつもより体温が高い。

「ま、やるならその時は上に乗ってやるよ」
「いいねえ、俺百歳まで頑張るからよろしくね」
「じゃあ騎乗位まであと半世紀以上かかるのかァ」
「うーそんなにお預けくらう?」
「くらう」
「今夜やってくれねえの?」
「やんねえし。それこそ総悟がやってくんぜ」
「俺遅漏だから待たせるのかわいそうだな」
「ぶっ」
「あ、コラ、きたねえの」

気配を消して廊下でじっと待つ沖田を想像したのか、土方が吹いた。銀時もつられて笑う。夜だから声を落とす。
それから二人で乾杯をして、どちらからともなく唇をあわせた。

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