NOVEL2

□I love you
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俺たちはお互いの苦しさを埋め合う関係だと思っていた。


毎日のように重ね合う肌は、嘘のように俺の心を溶かしてくれる。


伝わらない想い…。


そんな気持ちを抱えていた二人だから成り立っていたはずだったのに…。


ある日、俺は自分の気持ちを痛感した…。


それは久々に仕事がオフの日…。


休みの日はゆっくり寝ていたいのに、この日に限って目が覚めた。


仕方なく渇いた喉を潤そうと、まだ誰も起きていないだろうリビングへと足を進める。


そして聞こえてきた微かな甘い声…。


誰のものなにかは…確かめなくても体が覚えてる…。


胸が苦しくて…右手で押さえながら、思わずその場にしゃがみこむ。


『んっ…ユノ…』


俺の耳にまとわりついて離れないあなたがあの人を愛しそうに呼ぶ声…。


あなたは俺に抱かれている時も、あの人の影を重ねてる…。


俺だって、そうだった…。


でも、それを目の当たりにして初めて気付いたんだ。


いつの間にかあなたを愛していたことを…。


静かに流れ落ちる涙が頬を伝う…。


苦しい…。


『ジェジュン…』


『んっ…ダメ…約束だろ…』


『どうして…?』


『約束は約束だから…ほらっ、もう休もう…』


―ガタッ―


そう言って、物音が小さく鳴ると、誰かがこっちに向かって歩いてくるのを感じた。


動かない体に鞭を打つように立ち上がり、俺はキッチンの見えない視角へと体を滑らせた。


足音でわかる…。


あなたはユノヒョンから離れて部屋に戻って行った…。


その少し後から、あなたが想いを寄せているユノヒョンが自室へと消えていく…。


ユノヒョンにはもう長く付き合ってる彼女がいて、その人を大切に思っていることも知っていた。


あなたもそれを知っているから、決して二人の邪魔はしないと誓っていたじゃないか…。


それなのに…。


二人はいつから…。


部屋に戻ってからも、俺はヒョンの甘い声が耳から離れなかった…。
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