小説
□ラビリンス
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「久しぶり。」
「うん。久しぶりだね。元気してた?」
「ん〜まぁぼちぼち。」
「あっそ。で、何食べたいの?」
駅横のスーパーに向かいながら挨拶代わりの会話をしていても、特に感情の波が立つことはない。
どう考えても女友達と同じような感覚だし、ヤツだって男友達みたいなもんだと思っていることだろう。
ただ、一応私も性別は女だし、将来の夢は完璧な専業主婦だし、家事炊事は同い年の子の中ではきちんとこなす方だから。
まぁ手っ取り早く、尚且つ気を遣わずにお袋の味にありつけるっていうことで連絡してきたんだろう。
―――結局、何を作るか決まらないままスーパーに着いた。