旅の記憶

□プロローグ
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とある世界、とある場所に住む、どこにでもありそうな家でのんびりとする高校生。物語は、そんなところから始まった




『俺、参上!』

彼が見ているのは[超仮面ライダー電王&ディケイド]という映画だ。この作品は同じ系列の全くことなる物語を一緒くたにした作品で、「本来接点のない者同士の交わり」を好む性分から、お気に入りの作品の一つになっている。

そして彼はこの映画、もとより、仮面ライダーディケイドというキャラクターを見る度に思う事がある

「はぁ…俺がディケイドだったら、いろんな世界に、いや、例えばポケモンの世界だけでも行ってみたいもんだが…。なれねーかな、ディケイドに」

『それがお前の望みだな?』

「は?」

不意に聞こえた声の辺りを見回すと、上半身が下に、下半身が上に位置した砂の人型が4体並んでいた。そして少年にはその姿に心当たりがあった

「その姿…イマジンか?」

「へぇ、よくわかったね」

「それより、俺らの姿見ても怖じけづかんとは、中々肝の座ってる奴や。こういう奴ならうってつけやな!」

「あ!僕たち映ってる!」

イマジンと呼ばれた内の1体がつけっぱなしのテレビに食らいつく。その反応から、このイマジン達が何者なのか理解した

「モモタロス、ウラタロス、キンタロスにリュウタロス…か。まさか本当にイマジンがな………。いや、それはいい。望みがどうとか言っていたが、それは契約しろ、って事でいいのか?」

「なんだ、ずいぶん話がわかるじゃねぇか。じゃ、あとはどうすればいいかわかるよな?」

「俺はディケイド…仮面ライダーディケイドに変身したい。そして、こことは別の世界へ旅がしたい。できるか?」

「相当贅沢な望みだね。でもそんなの簡単な事さ。むしろそうするためにキミに近付いたんだからね」

「じゃあ、叶えられるんだな?」

「もちろん、契約成立だよ。リュウタ、こっちこっち」

テレビを食い入るように見ていたリュウタと呼ばれたイマジンを別の1体が呼び、並ぶ。その瞬間、砂の身体だった4体のイマジンは分離していた半身が合わさり、はっきりとした人型へと変化した

「では改めまして……俺達、」

「「「「参上!」」」」

お揃いの決めポーズをとる4体のイマジンはそれぞれかなり個性的な姿をしていた。
赤い鬼の姿をしたモモタロス。
青い亀の様なウラタロス。
金色の熊を思わせるキンタロス。
紫の龍をかたどったリュウタロス。
全員が全員人間とは程遠い、まさに怪物という言葉が似合うだろう。普通ならあわてふためきそうなものだが、その当事者の感想は、

「さすがに狭い」

「それだけかよ!」

なんとも呑気なものであった
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