旅の記憶

□第2話 VSゴーリキー
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「ここがオーキド博士の研究所か」

「どうやらそうみたいだな」

「へんくつでガンコなじじいと聞いてたから、今まで近づかなかったけど…、くやしいけど、オレが今よりも強くなる方法がわかるのは、ココだけみたいだし」

「すんなりわかるとも限らんがな」

「そ…それでもやるっきゃない!」

先程の敗北で己の弱さを痛感し、強さを得る足掛かりとしてオーキド博士に会うことにしたレッドとディケイド。研究所に到着したはいいものの、さすがにレッドは緊張している様子で、インターホンを押そうとする手が震えている。が、そんな事情など付き添いの知った事ではない

「えーいじれったい」

『ピンポーン』

「!!!?」

緊張するレッドを余所に何の躊躇(ちゅうちょ)も無くボタンを押すディケイド。しかし、家主は現れる気配を見せず、何度か押してみても反応がない

『ピンポーンピンポンピンポーン』

「ちょ、ちょっとやり過ぎだって!」

いつまでも連打し続けるディケイドを止めるレッド。だが、完全に迷惑にしかならないチャイムにもかかわらず、いつまでたっても音沙汰が無い

「誰もいないのかな?」

「カギは開いてるみたいだがな」

勝手に入る事を謝りつつ扉を開けると、そこにあったのは大量に並べられたモンスターボールだった

「ス、スゲェ…。これ、全部ポケモンだよな…」

その中で、他とやや離れた位置にあるボールに目が止まる。中を覗くと、植物のようなポケモンが入っており、ボールに貼ってあった付箋にはフシギダネと書かれていた

「 「フシギダネ」…アハハ、背中に種があるのか!へーーっ!ホラ、見てみろよ、ニョロゾ!」

レッドがフシギダネをまじまじと眺めていると、部屋の奥にあった扉から白衣の人物が姿を現した。その人物こそ、研究所の主であり、レッド目的の人物でもある、オーキド博士だ

「あ、ひょっとしてオーキド博士…」

「こんの…、ドロボーめ!」

「…へ?」

当然と言えば当然だが、レッドはこの研究所に無断で入っている。要は不法侵入だ。そんな者が研究所のポケモンを物色していてはこうなるのもまた当然だ。オーキド博士は、怒りを顕にして詰め寄ってくる

「あ、あの…。いや、オ、オレ達は………ディ、ディケイド!お前も……って、いねえ!?」

レッドはディケイドに助け船を求めたが、そのディケイドはどこにもおらず、自分一人だけだった事に気付く

(もしかして、中に入ったのってオレだけ!?)

「わとと…」

オーキド博士に詰め寄られて思わず後ずさりした拍子に何かのスイッチを押してしまった

「あああ!!それは!」

「えええ!?」

どうやら研究所のボールを一斉に開ける物だったらしく、中に入っていたポケモン達が飛び出してしまった

「なんてことするんじゃ、この悪ガキ!!」

「そ、そんなワザとじゃ…」

『べちょ』

「あ…」

オーキド博士が怒鳴りつけようとした瞬間、上空を飛び回っていた鳥ポケモンの糞が博士に直撃。わずかに時間が止まり、オーキド博士の青筋が浮かび上がる。そしてその時間は怒号とともに動き出す

「とにかく捕まえろー!」

「ハイ!」

(ディケイドのヤロー!覚えてろよー!)

あっさりと自分を見捨た付き添いを恨みながら、レッドは逃げ出したポケモンを捕まえていくのであった
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