黒犬と白猫
□白猫☆捕獲作戦
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ガッシャーン!!バタバタバタバタ…………ドカッ!!ベシャ!!ドンガラガッシャーン!!!
夜の11時を過ぎた頃、 喫茶店『猫の目』では凄まじい物音が響き渡っていた。
「コラッ逃げんな!あとはてめぇだけだ!!」
「にゃんにゃーん♪」
まったく、酔っているくせに何故こんなにすばしっこいのだろうか。黒鋼には理解できなかった。
すでに、ちっこい犬猫コンビを捕獲・送還することに成功した黒鋼は今、残る最も厄介な相手白猫ことファイと対峙している
酔っ払ったファイを追い回し始めてから優に1時間は過ぎているだろう。
おかげで店の中は嵐が過ぎ去った後のように悲惨な状況だ。
「にゃー?」
「おらッ!そのまま動くな!!」
逃げ回るファイを何とか隅に追いつめた黒鋼は仁王立ちになり、逃げられないように慎重に手を伸ばした。
「ぅにゃ〜〜♪」
「Σぅおッ!?てめェ!!」
ファイは黒鋼の両足の間をすり抜け、再びにゃーにゃー♪と逃げて行った。
「くそッ!!あの野郎ぉ…。」
黒鋼は髪を掻き毟ると、はぁー…と大きく溜め息をついた。
あいつをとっ捕まえる良い方法は何かねぇのか!?
と、何か作戦でも思いついたのか黒鋼は口の端をニヤッとつり上げた。
辺りをキョロキョロと見回し、ピアノの椅子の上で自分の手をペロペロと舐めているファイを見つけた。
黒鋼は忍び足でファイの背後までにじり寄り、片方の手で青い瞳の視界を塞いだ。
「にゃっ!?」
目の前が真っ暗になって驚いたファイは、当然の如くバタバタと暴れだす。
黒鋼は目隠しを外し前に回り込むと、ファイの細い両腕を片手で容易くひとまとめにし、動きを封じた。
尚も暴れるファイの腕をしっかりと掴んだまま、黒鋼は空いている方の手で近くにあったグラスを引っ付かんだ。
中身の酒はすっかりこぼれてしまっているが、重要なのはソレではなくまだ残っている氷の方だ。
黒鋼はグラスを傾けカララッと氷を口に含んだ。
グラスを床に置き、いやいやと首を振るファイの顎を無理やりグイ゛ッと掴み固定する。
そして、にゃあッと口を開いた瞬間、黒鋼はファイの唇に自分の唇を重ね、含んでいた氷を舌を使ってファイの口の中へ押し込んだ。
「ッ!!?」
突然口の中に冷たさを感じ、ジタバタしていたファイは一瞬動きを止めた。
黒鋼はその隙にファイのズボンの中へ手を突っ込み、まだ形を成していないファイの自身をきゅっと握った。
「Σんにゃッ!?///」
無防備なモノを刺激されたファイは、ただそれだけなのに身体中の力が抜けてしまい、くたっとする。
半開きになった小さな口からは氷の溶けたのと唾液との混ざり合った液がこぼれ、その口元を濡らした。
黒鋼は濡れた口元をそっと拭ってやると、ファイの脇の下から腕を回してふわっと抱え上げた。
ったく、世話焼かせやがって……
自分の腕の中ですやすやと眠る男を黒鋼は愛おしそうに見つめるのだった。
白猫捕獲作戦成功―――。
☆〜END〜☆
→おまけ+《後書き》
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