ゴミ箱

□窓際でお待ちしています
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・・・格好良いなぁ。


松本君・・・。

















「きりーつ、れー」


やる気の無い声で授業が終わり
何もする事の無い俺は次の授業の
教科書を出して、すぐ携帯を弄る。

変な次期に転入してしまった俺は
なかなかクラスに馴染めなくて
そのまま一人になってしまった。

それはいいんだけどさ、別に。


「やべー、今日当たるよな俺!?」


不意に耳に届いた、よく通る声。

そっちの方に、そろーっと視線をやると
友達とぎゃーぎゃー騒ぎながら
よく喋ってよく笑ってる松本君。

初めてこの教室に入ったときから
顔の整った人だなぁ、と思ったけど・・・

おまけに皆に好かれてるらしい。


「・・・・・・」


格好良いなぁ・・。
俺もあんな人になりてー
っていうか、近づいてみたい。

完全にタイミングを失ってしまった俺は
気軽に声をかけることも出来ないまま
そろーっとばれないように見てるだけ。

よく喋ってよく笑って、よく食べるらしい
顔の綺麗な、人気者の、松本流鬼君を。


「あぁ、鈴木ー。手あいてるか?」

「あ、はい」


入口から突然担任に声をかけられ
ういー、と席を立ち上がって
そっちに向かうと、一瞬だけ
松本君とばっちり目が合った。

うわぁぁ!とか思って
バッと目を逸らした。

は、初めて目が合った・・・
俺のことを見てた・・・

どうしよう、顔が熱い。


「次の授業で使う資料運びを手伝ってくれ」

「へーい」


他にする事があるから、と言って
さっさと出て行ってしまった担任。

運べったって・・・
こりゃ二回に分けなきゃ
さすがに無理そうだわ。

でもそしたら授業遅れそうかな。
・・・俺のせいじゃないしいいか。


「よいしょ、」

「すーずーきーくーん」

「!!?」


両手で掴んだ資料を
思い切り落下させた。

声をかけた主まで驚いて
大丈夫!?とか言ってる。
うわぁぁ、恥ずかしいー。


「ごめん、驚かせて」

「い、いや・・・こっちこそ・・・」


勝手に落とした資料を
慌てて拾ってくれる・・松本君。

声だけで判断できた上に
思い切り動揺して自分はずい。
そそくさと資料を集めてく。

なんで此処に松本君が・・・


「この資料、全部運ぶん?」

「らしい・・」

「じゃー手伝うよ」

「え!」


思わぬ言葉に、ぎょっとして
松本君の顔を二度見、三度見したら
なにそれ、とげらげら笑われた。


「だってお前、タイミング失ってんじゃん」

「え、バレてる」

「バレバレっす」

「お恥ずかしい・・・」


誰と仲良くしたらいいのか
なんて声かけたらいいのか
そんなことを考えていたら
完全に見失ったタイミング。

見抜かれてた・・っていうか
見ててくれてたんだ・・・。

なんか嬉しくて、顔が熱い。


「俺らんとこに来ればいいのに」

「へ」


拾い終わった資料を整えながら
松本君の顔を更に二度見。

え、俺らんとこ・・・って


「移動とか飯の時とか」

「え、」

「休み時間もおいで」

「う」


にっこりされた。
今、俺は天のお言葉を賜ってる?
それかもしくは妄想結果の幻聴?

松本君が神様に見えるんだけど
ちょっと目でも擦っておくか。

そんな俺に「なんだよ」って笑って
解った?と人差し指を向けられた。


「・・・松本様」

「いや、普通でいいから」


やっぱり俺、この人のこと大好きだ・・・。














「」

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