ゴミ箱

□My dear victim
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後悔してるというなら
どっちに、だろうか。


お前を見つけてしまったことなのか。















「おはよう」


聞き慣れた声に振り返れば
ぎこちなく笑う玲汰。

俺も笑い返して「おはよう」と言い
リクエスト通りに、卵焼きを作る。
玲汰の好きな味付けも知ってる。

どんなときに、どんな顔をして
泣いたり笑ったりするのかも。


「ほら、先に着替えて来い」

「うん」


寝癖が跳ねる頭を掻きながら
制服を手に取っている玲汰を
少しだけ見つめて、また手元に
意識を戻し、盛り付けていく。

こんな晴れやかな日に
卵焼きやハム、レタスなんかを
皿に盛り付けている自分。

後ろを振り返れば
それを食べてくれる子。


「・・・・・・」


まるで、平穏みたいに。
まるで、全て許されたように。

一瞬震えそうになった手を
ぎゅっと握り締める。


「今日はご飯いらない」

「どうした?」

「友達と食いに行く」

「・・・そっか」


学校に通わせて・・・
ちゃんと友達もいるみたいで
毎日、楽しそうな顔をしてる。

それに何処か安心するなんて
・・・許されたはずもないのに。

あまりに屈託なく、疑いもなく
俺を好きだなんて言うから

変な幻覚でも見てるかのように
幸せな家族なんてものを描いた。


「遅くならないこと」

「はぁい」


びしっと指をたてて言えば
へらっと笑って返事をした玲汰。

ぎこちなく、おどける二人でいれば
幸せでいられるのだろうか。


そんなこと、俺が望んでいいはずもないのに













「」

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