短編集

□その他×日本
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君を世界への扉へと誘ったのは俺だ。
俺が君の視野を広げたんだ。
自身がずっと憧れていた東洋の島国の手を取った時の嬉しさと言ったら、言葉にすることも出来なかったのに。
けれど、そんな想いも束の間…イギリスが君の手を取った。



何故?そう思った。
彼奴は独りでいることに誇りを持っていた筈なのに。
その理由を知らずにはいられなくて、俺はイギリスに尋ねた。
答えは簡単だった。
「友達が欲しかったから」…。
違う。
答えを聞いてすぐに俺はイギリスの言葉を否定した。
そして思った。
彼奴は、イギリスは、日本が好きだったんだ。
好きだから近付きたかった、俺みたいに。
心の中で、どこか冷めている俺がいた。



けれど、今俺の腕の中には日本がいる。
震える小さな肩を抱き締めて、上辺だけの表情、言葉。



「日本、大丈夫かい?」



自分で思った通りの優しい声音に俺は心の中で満足気に笑う。
ほら、こうすれば君は彼奴を思い出すんだろう?
知ってた、知ってたよ。
君が彼奴を好きだったことくらい。
いや、今も好きなのかな?
けれど、彼奴は君から離れて行ったろう?
俺と共に、原爆を投下することに頷いたんだ。
彼奴は自ら、君から離れて行ったんだよ、日本。



だから、君は俺のモノ。
開国させた時から、ね…?
他の男の夢を見ても、現実は俺の腕の中。



君の手を放した彼奴を許すわけにはいかないけれど。



〜愛しい、大嫌いな彼奴〜



(大好きだよ、日本。大嫌いだよ、イギリス)



‡END‡



黒いアルさんはグッジョブだと思うよ。
それか純粋故に黒ければ良い。



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