〜ルート別ストーリーありの甘キス〜




とある飲み会でのこと。


「ところで皆さん初体験って何歳の頃ですか?」

そんな爆弾発言が黒澤の口から出た瞬間、空気がビキッと凍った。相変わらず彼はこういった場では空気を読まない天才である。

「クズが、沈めるぞ」
「...透、馬鹿なの」
「黒澤だからな」
「ああ」

男の中の飲み会に参加していればこういった下世話な話しになることもあるのだろうが、ここにいるメンバー...上から、加賀、東雲、後藤、石神はそう言った話しをしない。

紅一点の彼女に気を使っているというよりも、そもそもそういう話しが好きではないと思っていて、彼女にとっては非常に有難いと思っていたわけだけれど...


「だって気になるじゃないですか」
「ならんだろ」
「透の変態」
「変態ってなんですか――っ!じゃあ、今現在お付き合いしている人の人数でいいです!」
「今のどこからじゃあに繋がんだよ」
「そこはいても一人だろ」
「何人かと同時に付き合うって面倒だし」


...どうやら思い違いだったようである。

とりあえず、何やら盛り上がり始めてしまったので、すすっと彼らと距離を取ることで聞かないようにした。

上司と同僚のそっちの事情は出来るなら知りたくはない。


ていうか、このまま帰ってもいいかな...


きっと女の自分がいたら出来ない話もあるだろうし、うん、それがいい。

このまま過激な話しになっていくのは目に見えている。何せ、いつもはすぐに黒澤を沈める石神が突っ込みとはいえ会話に入っているので、誰も止めようがない。

こうなったらさっさと退散してしまうに限る。

そんなことを考えた彼女が酎ハイを口を付けた時だった。

「私さんっ!」
「...ふぇ?」

まさかここで話を振られるとは思っておらず、さらに飲もうとした時だったこともあり思わず変な声が出てしまった。

出来れば聞かなかったことにしてほしいけれど、東雲がくすくす笑っているのでばっちり聞こえていたらしい。

「って、どうしてそんなに離れて座ってるんですか?」
「...え?」
「さっきまでもっと近くにいたでしょ」
「...そんなことないわよ」

私は帰るんだからどうぞ好きに会話してて、と思うのに、東雲と黒澤の二人が話しかけてくるから動けなくなってしまった。

そして黒澤はにっこりと笑って彼女に爆弾を落とすのだ。

「ちなみに、私さんの初体験って何歳の時だったんですか?」
「っ...?!」

黒澤の言葉に思わず目を丸くしてしまった彼女は決して悪くない。


普通、ここで聞く?
聞かないでしょ...


そう思って周りに視線を向けてみたけれど、何故か全員がこっちを見ているだけで誰も黒澤に突っ込まない。


ちょっと待って、これどういう状況なのよ...


そんなことを思いながら逃げ道を探したけれど見当たらなくて、全員に見られている恥ずかしさとお酒の力もあって、いつものように顔が取り繕えない。

「...っ、..」

自分の顔が真っ赤に染まっていくのが分かる。

さっきのほんのりなんて可愛いものだ。きっと今の彼女の顔は林檎ぐらい赤いだろう。

彼女とてそれなりに人生経験のある大人だけれど、人からそんな話をされたら恥ずかしいに決まってる。

「...、やば..っ、まさかそう来るとは...」

そう言って何故か顔を赤くし悶えだした黒澤の言葉に、やっぱり他のメンバーが誰も突っ込まない。

その理由が、考え込んでいたり、笑っているのに笑っていない顔で見つめていたり、怒っていたり、無表情だったり...とそれぞれ違った顔で彼女を見ているからであって...


ちょっと、透。
この空気なんとかしなさいよっ...!


と、彼女が心の中で叫んだのは言うまでもない。





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