七転抜刀

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世の中には不思議な出来事がある。
というのは本や漫画の話で、
自分はそれをバカバカしいと思ったりする。


それにまさか、自分が巻き込まれるとは。




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15、6と見られる黒髪の少年が一人、廃墟に現れた。


いや、現れたというより、冷たいコンクリートの上で眠っている。


その少年は自分の意思で廃墟に来た訳ではない。


それに、この廃墟は入り口から今現在少年がいる場所までは普通の人間がたどり着けるような状態ではない。



何故かというと、



床は抜け、柱は折れてはないが、今にも倒れそうなほど傾いている。


歩いた拍子に、まだ健全である床も抜けそうだし、柱もそばを通った時にこちらに倒れてきてはひとたまりもない。


通りすがりの人間は「あ、何かありそう。入ってみようぜ」等と言う100%興味本位でこんな危険な場所には来ないだろう。



少年の瞼(まぶた)の下から、ゆっくりと茶色い瞳が現れた。



同時刻、何処か少年がいる所からずっと離れている場所で、白い少女が笑った。




********




「誰かーいませんかー?」



少年、というか、俺はわざとらしく声を上げる。


先程から何度も『誰か』に呼びかけているが、返事は返ってこない。



というか人の気配ナッシング!



何度呼びかけても何も返ってこないことが分かりきってしまった。



無駄と分かっても一応呼びかけている。



ちなみに、何でここにいるのかというと、分かりません。



さっきまで自分の部屋にいて、うっかり寝てしまったという感じだ。



目覚めてみればそこは廃墟、というか、廃デパート





いや、何で?





皆さんも疑問に思っているだろうけど、俺のほうが、何で?だよ。



とりあえず無駄に動いて危険な目に遭うのも嫌だし、しばらくここにいるしか…。




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