地獄に居る筈のキミへ

□一章
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オレは退屈しながら座っていた。

兄貴達は明らかに怪しまれているにもかかわらず、それら全部無視してスニーカー選びに夢中だ。
楽しそうに色違いのいいスニーカーを探してはポイポイと遠慮なくカゴに放り込む。
値札をチラッと見たプーチンが青い顔をしている。

当然ながら、オレが口出しする事なんて全くないから、椅子に座って退屈するしかない。
大体、三色サイズまでそろったスニーカーなんてほとんどないから、色にしか口出しなんて出来ない。

「スカイさん、大丈夫なんですか?」

プーチンが横で心配そうにしている。

外で騒がしく響くサイレンなんてものともしない二人を見ている限り、言ったところで無駄だろう。
それに、外はすでに囲まれているだろう。
このサイレンは警告。

車の奴らはその辺をうろついて待機しろって言ってあるし、きっと大丈夫だろう。
無線で呼べばすぐにでも戻ってきてくれる。
皆、仲間を見捨てるような連中じゃないからな。

ま、後ろで黙って立っていればキレ兄が一暴れして道を作ってくれるだろう。
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